<第9回>「読者の質問」&「Yojiの回答」コーナー!~~ なぜホンジュラスはW杯に出場できないのか? ~~ (前編)


 

 

 読者の皆様から寄せられたご質問に対する「Yojiの回答」コーナーの、<第9回>です。一気に全部のご質問には答えられないので、日をおいて、届いたご質問から順番に答えさせていただきます。

 

あくまでも「Yoji個人」が感じたことを、そのまま回答させていただきますので、同じ経験をしたけど違う感じ方をした人もいらっしゃるかと思いますが、その点はご了承下さい。

 

 

 

<今日の質問>

 

 

「ホンジュラス代表サッカーチームは、なぜW杯に出場できないのでしょうか?」

 

 

 

Yojiの回答>

 

 

以前も書いたように、「FIFA年間最優秀チーム」にも選ばれるほど、高いポテンシャルを誇る、ホンジュラス代表サッカーチーム…。

 

 

現在、イタリア・セリエAの名門「インテル・ミラノ」でプレーするダビド・スアソを筆頭に、「ジェノア」や「サレルニターナ」、かつては「ASローマ」や「ウディネーゼ」、「カリアリ」、「メッシ―ナ」、「レッジーナ」、その他の国では、当時、イングランド・プレミアリーグだった「サンダ―ランド」、スペイン1部リーグだった「バヤドリード」、宮本選手、三都主選手も所属するオーストリアの「ザルツブルグ(『レッドブル』がスポンサーになる前)」…

…などなど、ヨーロッパ各国の名門チームに、次々、優秀な人材を送り込む、「北中米カリブ海地区」でも屈指の「タレントの宝庫」である、ホンジュラス…(今回は、ダビド・スアソ以外の選手名は省略させていただきます)。

 

 

2001年コパ・アメリカ・コロンビア大会」では、「準備期間0日」というムチャクチャな日程で参加したのにも関わらず、「世界最強のサッカー王国」、ブラジルを破り、「3位」に輝く、脅威のホンジュラスサッカー…。

 

 

 

こんな素晴らしい国が、一体、なぜ、W杯に出場できないのか!?

 

 

 

まず、初めに申し上げたいのは、ホンジュラスは、W杯に出場したことが、「あります」。それは、今から25年前の「82年スペインW杯」です。この大会でホンジュラスは、グループリーグで、開催国のスペインに引き分けるなど、なかなか渋い活躍をしたのですが、最後は「不可解な判定」により、大会を後にしています。

 

 

 

 

そして、この大会の後から今日に至るまで、ホンジュラスはW杯に出場していません。

 

 

 

 

近年で、最も出場に近付いたのは、実は「2002年日韓W杯」…。

 

 

この時のホンジュラス代表は、ご存知のように「2001年コパ・アメリカ・コロンビア大会 3位」、そして「2001年FIFA年間最優秀チーム」に輝くなど、正に「過去最強」とも言える、素晴らしいチームでした。あのダビド・スアソでさえ、スタメン出場ができないほど、豊富なタレントを揃えていたのです。

 

 

順調に予選を勝ち進み、迎えた「最終予選」(「ホーム&アウェー」方式)…。

 

 

「北中米カリブ海地区」の「2大横綱」とも言える、メキシコ、アメリカに対してホンジュラスは、メキシコには「ホーム」で「3-1」勝利、アメリカには「アウェー」で「3-2」逆転勝ち、そして「98年フランスW杯」で日本を破ったジャマイカに対しては、「アウェー」で「1-1」引き分け…と、前評判に違わぬ活躍で、順調に勝ち点を稼いでいきました…。

 

 

 

<動画>「2002年日韓W杯・北中米カリブ海地区 最終予選『ホンジュラスVSメキシコ』」 (青&白が「ホンジュラス」、緑が「メキシコ」) 

 

ホンジュラスのホーム「サン・ペドロ・スーラ」で、宿敵メキシコを「3-1」で撃破!!GKカンポスもお手上げ状態…。現在、スペインの名門「FCバルセロナ」で活躍するDFラファ・マルケスも、ダビド・スアソにぶっこ抜かれてPKを献上するなど、強豪メキシコをもってしても、この時のホンジュラス代表の勢いを止めることはできませんでした…。

 

      

<動画>「2002年日韓W杯・北中米カリブ海地区 最終予選『アメリカVSホンジュラス』」 (白が「アメリカ」、青&白が「ホンジュラス」)

 

 

★前半★ アメリカのホーム、「ワシントン」で行われたこの試合…。物凄いスタジアムの熱気と、観客数です(推定約10万人!内、4万人がホンジュラス人サポーターとか…。アメリカに出稼ぎに来ているホンジュラス人が、大量に押し寄せたものだと推測します)!! アメリカに先制を許し、その後、同点に追い付くも、PKを与える…。ホンジュラス、絶対絶命のピンチ!!手に汗、握る攻防…。白熱の好ゲームです!!

      

 

 

 

★後半★ エンターテイメント性に溢れる、「これぞ、ホンジュラス!」な試合です。ホンジュラスが獲得したPKのシーンですが、突破をしてPKを獲得した選手は、何とDF!!「DFも含めた全員が攻撃する」、破天荒なホンジュラスサッカーを象徴するシーンです(まるで「野生児」の突破のようです)。ホンジュラス3点目のシーンなどは、「1対1になったら、意地でもドリブルを仕掛ける!」ホンジュラスサッカーの「魅力」が集約されています。その他にも、奇想天外なドリブル、パスが満載!失点後、呆然とするアメリカ代表選手の顔が、印象的です。

        

 

 

実は、この試合までのアメリカ代表は、W杯予選において、何と「16年間」…「ただの1度もホームで負け無し」…という、脅威の記録を打ち立てていました。「16年間無敗」ですよ、「16年間無敗」!!…その記録を止めたのは、ホンジュラス!!正に、飛ぶ鳥も落とす勢い!!「82年スペインW杯」以来の「W杯出場」が、ハッキリと見えてきた瞬間でした…。

 

 

 

そして、最終予選も残り「2試合」…。この時点での順位は、全6チーム中(コスタリカ、アメリカ、ホンジュラス、メキシコ、ジャマイカ、トリニダード・トバゴ)、ホンジュラスが「W杯出場圏内」の「3位」、そしてメキシコがそれに次いで「4位」…。

 

 

しかも、この最後の2試合の内、ホンジュラスがあと「1勝」でもすれば、メキシコの結果に関わらず、無条件でホンジュラスの「W杯出場」が決まる!!…という、絶好の状況を迎えました。

 

 

さらに、次の試合の相手は、早々に脱落し、すでにW杯出場の可能性が絶たれていた、「最下位」のトリニダード・トバゴ…。そして、この試合は、ホンジュラスの「ホームゲーム」…。ついに、ホンジュラスの「W杯出場」が、現実のものとなる瞬間が訪れようとしていました…。

 

 

 

ところが…

 

 

 

何と、この試合をホンジュラスは「0-1」で落とします。大番狂わせ!!ありえない!!勝っていれば、「W杯出場」が決まっていたのに…。まさか、「最下位」のトリニダード・トバゴに、「ホーム」で負けるとは…。信じられない…。

 

 

 

こうして、最後の「1試合」を迎えることになりました。この時点で、コスタリカ、アメリカはすでに「W杯出場」を決めていました。当時の「北中米カリブ海地区」の「W杯出場枠」は、僅かに「3カ国」…。残り「1カ国」の座を巡り、ホンジュラス、メキシコの一騎打ちとなりました。

 

 

さらに、何という運命のいたずらか…最終予選、最後の対戦カードは、何と何と、「メキシコVSホンジュラス」の直接対決!!…つまり、この直接対決で勝った方が「W杯出場」…という状況になってしまったのです。正に、大一番!!どうなる!?

 

 

ただ、この最終戦は、メキシコの「ホームゲーム」…。メキシコのホーム、聖地「アステカ・スタジアム」で勝利するなんて、世界中のどんな強豪チームでも極めて難しいことです(おそらく、ブラジルでも勝てません。…って言うか、メキシコは「ブラジルキラー」。近年、メキシコはブラジルに連勝し、勝ち越している、おそらく世界で唯一の国です。今年も「コパ・アメリカ」で、ブラジルに「2-0」で勝っています)。

 

 

しかもこの「アステカ・スタジアム」は高地にあり、僕の友達のジャマイカ代表選手に聞いたところ、「空気が薄くて、前半で体が動かなくなる」…そうです。大丈夫か、ホンジュラス代表!?

 

 

 

そして…

 

 

 

ホンジュラスはこの最終戦で、メキシコに「0-3」と完敗し、結局、「2002年日韓W杯」の出場権を逃してしまったのです…。

 

 

 

今、考えても、「あの時、ホンジュラスがW杯に出場していれば…」と、本当に悔しい気持ちが込み上げてきます…。それくらい、あの時のホンジュラス代表は、素晴らしいチームでしたからね…。「あと1勝」で、「W杯出場」だったのに…。

 

 

結局、この後、「2002年日韓W杯」に出場したメキシコは「ベスト16」進出、アメリカに至っては何と「ベスト8」進出と、素晴らしい成績を残しています。つまり、この時の「北中米カリブ海地区」予選は、恐ろしく「ハイレベル」な闘いを繰り広げていたのです(それなのに、「出場枠」がたったの「3カ国」かよ!?少な過ぎじゃろ!?…ってか、W杯での実績がほとんど無い「アジア」の出場枠は多過ぎ!!)。

 

 

ホンジュラスがこのW杯に出場していれば、セネガル級の衝撃を世界に与えた可能性もあったのですが…。ん~、つくづく残念です!!(涙)

 

 

 

 

 

 ここでいよいよ、本格的に、「一体、なぜ、ホンジュラスはW杯に出場できないのか!?」を分析したいと思います。

 

 

 

 が…

 

 

 

 今日はもう、「文字数制限」でこれ以上、記事が書けないので、「つづき」はまた、次回に書かせていただきます。ご了承下さい。

 

 

 なるべく、すぐ更新します!!

 

 

 では!!

 

 

 つづく

※W杯予選も行われるホンジュラスサッカー界の聖地・エスタディオ・ナシオナルにて。当時のホンジュラスNo.1GKヴィクトル・コエヨと。

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<第9回>「読者の質問」&「Yojiの回答」コーナー!~~ なぜホンジュラスはW杯に出場できないのか? ~~ (前編)」への2件のフィードバック

  1. いいところで次に持ち越しですか。(笑)
    そうですよね~、日韓W杯の時は、アジア枠の増大が大会のクオリティを下げているような気がしました。あと、レフェリーの質や出場国の選手達のコンディ
    ションなども加味して、色々と問題アリの大会だった気がします。
    ホンジュラスはどうなのかは解りませんが、最近は欧州でプレーするアフリカ人選手が多いせいか、ナイジェリアやカメルーンなどの試合を見ている
    と、個人技重視から組織力重視に傾いてきているように見受けられます。これも欧州の影響でしょうか。アフリカのチームに招聘される白人監督も
    多いですよね。

  2. geocareさん。
     
    コメントありがとうございます。さすがに鋭いご意見ですね(笑)。
     
    アジアの出場枠に関してですが、geocareさんのおっしゃる通り、アジア枠の増大は大会のクオリティーを下げる場合があります。まず、アジアのチームはほとんど勝てません。昨年のドイツW杯も、韓国を除けば、全く勝利できず、散々な結果に終わってます。僕個人としては、アジアの1枠を、北中米カリブ海地区に譲っても良いのではないかと思います。実績もありますしね。
     
    また日韓W杯においては、おっしゃるように「レフリー」や「選手のコンディション」に問題があったのも事実です。特にレフリーは…。これ以上はあえて言いませんが(笑)、世界の誰もが「疑問」を抱く不可解な判定が多数、起こってしまったことは、大変、残念です。「アジア」全体の「イメージ」に関わることですからね。
     
    「欧州でプレーする……個人技重視から組織重視に傾いてきている…」 これは、北中米カリブ海地区に関しては、まだ大丈夫だと思います。メキシコ、コスタリカはそもそも、欧州でプレーする選手自体が少ないし、ホンジュラスは欧州の監督を招聘するようなお金がありません。彼らは日本と違って、監督が変われば「南米式」「欧州式」とサッカーが変わるということがなく、すでに彼ら「独自」のサッカーを確立しています。
     
    アフリカが欧州の影響で組織的になり、かつてほどの「意外性」「破天荒」「奇想天外」なプレーが減ったような気がします。以前の方が見ていて楽しく、魅力的だったので、少々、残念です。
     
    ホンジュラスに関しては、欧州でプレーする選手は多いですが、ホンジュラス代表は、相変わらず、「組織」などまるで無視した、メチャクチャなサッカーをしています(笑)。
     
    確かにホンジュラスも、もう少し組織的に闘えば、確実に「勝てる」チームになるのかもしれませんが、ホンジュラスは、今のままだからこそ、「魅力的」だと思いますし、世界でも数少ない、「個人技」重視の「超攻撃的サッカー」をする国として、このサッカーは大事にして欲しいと思います。ホンジュラスが変に組織的になってしまったら、その魅力まで半減してしまいますからね…。
     
    貴重なコメント、誠にありがとうございました。

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