「偶然」が導く、『成功』。


 「怪我」に関して、ちょっと良い話を…。
 捻挫した左足首が痛くて、ザルツブルグのユースホテルの中を、足を引きずって歩いていたんです。
 すると、家族連れの見知らぬドイツ人男性が、話しかけてきました。「どうしたんだ?大丈夫か?」と…。
 どうも彼は、昔、看護士だったらしい。「ちょっと、見せてみろ。」と、僕の怪我を診てくれました。そして、「10分間、待ってろ!」と言って急いで外に飛び出し、何と、怪我をした僕のために、塗り薬と、飲み薬、バンデージを買ってきてくれたのです。その後、彼はその薬を僕の怪我部分に塗ってくれ、バンデージまで巻いてくれました。彼の家族も本当に親切に、温かく対応してくれ、「見ず知らずの人のために、どうしてここまでできるのか!?何て温かい人達なんだ…。本当に、ありがとう!!」…と、感動しました。もちろん、僕はこのドイツ人家族に対して、心からの「感謝」の気持ちを述べました。彼らは、さわやかな「笑顔」を残し、その場を去って行きました…。
 何て良い人達なのでしょう!!(涙) 日本人も「親切」で「温かい」…国民ではありますが、日本では、なかなか「見ず知らず」の人に対して、ここまで、できないものです。彼らはドイツ人でしたが、僕はオーストリアに来てから、ここの人達の本当に「さわやか」で「飾らない」「親切」「温かさ」…に、何度となく救われてきました。彼らに「感謝」するのはもちろんのこと、怪我をした直後に、「偶然」にも元看護士に出会い、ちょっとした治療をしてもらえるなんて、「俺は本当に、ラッキーな人間じゃ…。神様に感謝感謝感謝…。」と、つくづく思いました。
 「偶然」…。
 「『15分間』の決断。」を下し、僕は急いで「バッド・オーセー」に向かいました。まず、最初の長距離バスのバス停に向かいますが、あまりにも急な出来事だったため、バスに間に合うかどうか、はっきり言ってかなり微妙でした。案の定、バス停に着いた時には、そのバスはもう動き出していました。
 「待ってくれぇ!!!」
 すでに動き出しているバスを、後ろから足を引きずりながらダッシュで追いかけ、バスの窓を叩いて呼び止めます。
 セーフ…。どうにかこうにか、そのバスに乗ることができました。もし、決断に「16分間」かかっていたら、そのバスには間に合わず、「バッド・オーセー」に行くこともできませんでした。ふう~、危なかったぁ…。 「いや~…。『偶然』にしても、本当に時間ギリギリでよく間に合った…。やっぱ俺はラッキーじゃのう!!」
 「偶然」…。
 どうにか長距離バスに乗り込んだまでは良かったものの、今度は最終地点で電車に乗り換えないといけません。…って言うか、バスが進むにつれ、どんどん山奥のド田舎に入って行って、一体、自分が今どこに居るのか、全くもって分かりません。正に、「未知の世界」…。電車はどこじゃあ?どうやったら「バッド・オーセー」に行けるんじゃあ!?
 困って、通りすがりの人に聞いてみました。すると「偶然」にも、「ああ、『バッド・オーセー』だったら、私達も今から行くんだよ。」って人が現れ、結局、彼らと一緒に電車に乗って、無事、「未知の世界」…「バッド・オーセー」に到着することができました。 「ん~…本当に本当に、ラッキーじゃのう!!」
※「世界の車窓から」??「バッド・オーセー」行きの電車ホーム。
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※「バッド・オーセー」に向かう、電車の窓から。辺り一面、山景色…。
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 「偶然」…。
 見渡す限りの山、山、山……な、超ド田舎「バッド・オーセー」ですが、「偶然」にもここには、ザルツブルグでお世話になった「ユースホテル」と同じ会社のユースホテルがあったんです。ラッキー!!他には、ホテルらしいホテルは、ほとんど無い…。一番、安いし、結局、このユースホテルに宿泊することとなりました。
※ようやく辿り着いた「ユース・ホテル」は、あいにく、全部屋満室…。ピンチ!!しかし、交渉の結果、「サウナ・ルーム」にベッドを特設して泊まらせてもらうことになりました。ラッキー!!
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※「サウナ・ルーム」…。これが、なかなか快適なんです!!ラッキー、ラッキー!!
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 翌日。午前10時。
 ついに、例の「プロのGKコーチ」との初対面です。約束時間の30分前に、待ち合わせ場所に到着します。その数分後…。とうとう、「プロのGKコーチ」がやって来ました。しかし、よく考えてみると、自分はほとんどドイツ語が話せません。事前情報によると、この「プロのGKコーチ」(オーストリア人)も、ほとんど英語が話せないらしい…。どうやってコミュニケーションとるの!?
 ところが、「偶然」にもこの「プロのGKコーチ」が所属するチームに、「スペイン語が話せる、ブラジル人選手」が居て、この日、「プロのGKコーチ」はそのブラジル人選手を帯同してて、彼が僕達の間に入って通訳してくれることになったのです。ラッキー!!本当に助かりました。…実は、僕がここに来る前、この「チャンス」を作ってくれた「レッドブル・ザルツブルグのチーム関係者(日本人)」の方が、「Yojiは、スペイン語は話せるが、ドイツ語が話せない。」という事情を予め説明してくれていて、それでこの日、わざわざ「スペイン語が話せる、ブラジル人選手」を通訳として連れて来てくれることになった…というわけです。この、ささやかな「心遣い」が、本当に嬉しかったです。ありがとうございました!!(涙)
 「偶然」…。
 …ただ、ブラジルは「ポルトガル語圏」の国で、普通のブラジル人はスペイン語が話せません。スペイン語とポルトガル語は似ているとは言え、ブラジル人全員がスペイン語を話せるってわけではないのです。むしろ、「スペイン語が話せる、ブラジル人」は少ない…。それが「偶然」にも、この日、会うことになった「プロのGKコーチ」が所属しているチームに、「スペイン語が話せる、ブラジル人選手」が居たなんて…。そもそも、ホンジュラスに行ってなければ、スペイン語も話せなかったわけだし…。 「俺はやっぱり、ラッキーじゃ!!!」
 さあ、「通訳」も居ることだし、交渉開始…。「今日は怪我でプレーできないから、別の日にテストを延長してもらえないか?」…しっかり、交渉しなければならないのです…。
 まず、自分の怪我を、「プロのGKコーチ」に見せます。すると「交渉」する間もなく、「プロのGKコーチ」の方から、「その怪我では、今日は練習できないな…。」と言ってきました。そして、向こうから、「いつ、100%の状態に回復する?100%怪我が治ってから一緒にGK練習しよう!!」と言われてしまいました。…え!?「交渉」する間もなく、こっちが思い描いていた展開になっちゃった!?ありゃりゃ…!?
 もし仮に、これがJリーグチームのテストで、同じ状況(怪我)に僕が陥ってしまっていたら、おそらく、その時点で「ゲームオーバー」…次の「チャンス」は与えてもらえなかったでしょう(まあ、一概には言い切れませんが)。ただ、今回の件に関しては、僕自身、「交渉しても断られることは、まず無いだろう。」と、なぜか「自信」があったのも事実です。僕の「セルフ・イメージ」では、こういう展開になるのは、密かに予測できていたのです。それと、「まあ、断られたら断られたで、しゃーないわい。」くらいに、完全に「開き直っていた。」のも事実…。最近、思うのは、「どう転んだって、別に構わない。どっちみち俺は『成功』するんだから…。」くらいに考えられれば、怖いものは無いな~…ってことです。今の自分は、その思考になってきています。「開き直って」「無心」「自然体」で、「時の流れ」と「偶然」に身を任せる…。そこから先は、「神様の審判」に全てを任せる。「悪あがき」はしない…。
 「偶然」…。
 こうして、あっけなく「怪我が完治してから、改めて『プロのGKコーチ』とGK練習(テスト)する。」…約束を取り決めたYoji…。
 この日の午後、この「プロのGKコーチ」と「スペイン語が話せる、ブラジル人選手」の所属するプロチームの練習があるとのことで、「まあ、どんなもんか、一応、見に行ってみるか!!」…と思い、スタジアムに足を運ぶこととなりました。
 スタジアムに到着すると、早速、何やらサッカーチームが練習しています。けど、何だか、妙に「黒人選手」が多いような…。ってか、全員、「黒人選手」じゃん!!一体、どういうこと!?
 「スペイン語が話せる、ブラジル人選手」に質問します。「これが、あんたのチームか!?」 すると彼は、こう答えました。「違う。何、このチーム?分からない。」
 …どうやら、彼のチームではないようです。確かに、全員「黒人選手」だしな…。オーストリアのチームじゃないのか!?一体、何者じゃ!?
 好奇心旺盛な僕は(笑)、早速、この謎の「全員黒人選手のチーム」の輪の中に入って行き、質問しました。
 「あなた方、どこのチームなの??」
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 …………………………
 「UAE…。」
 はぁっ!?
 UAE!!!???
 アラブ首長国連邦!!!???
 何と、この謎の「全員黒人選手のチーム」は、「UAE(アラブ首長国連邦)」のチャンピオンチームで、現在、「アジア・チャンピオンズリーグ」でも決勝トーナメントまで勝ち残っている、「アル・ワハダ」というチームだったのです。確かによく見ると、先日の「アジア・カップ」の日本戦にも出場していた、UAE代表選手が、何人か居るなぁ~…。…って言うか、何でUAEのチームが、オーストリアのこんなド田舎に居るのよ!!??(←どうも、強化合宿で来ていたようです。)
 僕の興味は、俄然この「UAEチャンピオン」…「アル・ワハダ」に注がれました。「プロのGKコーチ」&「スペイン語が話せる、ブラジル人選手」が所属する、「バッド・オーセー」のプロチームには目もくれず…(笑)。 「バッド・オーセー」の「プロのGKコーチ」とGK練習するために、ここへやって来たのに、僕の興味は、「偶然」にも目の前に現れた「UAEチャンピオン」…「アル・ワハダ」に完全に乗り換わっていました。
 実は「偶然」にも、中国留学時代にイラク人の友達がいた僕は、彼に教えてもらった「アラビア語」の挨拶を、「ここぞ!」とばかりに、満面の「笑顔」で使いました。
 「マルハバ!!!(アラビア語で『こんにちは』)」  「ケイフ ハラク!!!(アラビア語で『お元気ですか?』)」
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 ……………………………
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 これが、大ウケ!!!!!!!!!!
 「まあ、こっちに来いよ!ベンチに座れ!」と大歓迎され、瞬く間に、「アル・ワハダ」の輪の中に溶け込んでいきました。これまでの人生の中で培ってきた「経験」が、またしても生きた瞬間でした。ただ、中国留学時代に、「個人的」にアラブ人の友達がいたとは言え、こうやってアラブ人の「集団」の中に入っていくのは、これが「人生初」です。
※ベンチに座って、「アル・ワハダ」の練習を見学することに…。
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 しかし……。
 アラブの「ノリ」、結構、おもろいじゃん!!!!!
 みんな本当に明るく、陽気で、それでいて紳士…。僕はすっかり「アラブのノリ」が、気に入ってしまいました!!!
 実は、元々「アラブのサッカー」は、気になっていたんです。僕はなぜか、「日本人が、未だかつて誰もやったことがないこと。」に、興味を注がれ、闘志を掻き立てられます。「オーストリア」では、すでにプレーしている、日本人サッカー選手の「前任者」がいます。それでも、「チャンス」があるなら…と思い、こうしてはるばるオーストリアまで来たのですが、僕には元々、他の日本人サッカー選手とは違って、「ヨーロッパ」に対する特別な「憧れ」は無い…。むしろ、圧倒的に、「日本人が、未だかつて誰もやったことがないこと。」…の方が、燃える!!!
 「アラブ」のサッカーリーグでプレーした日本人選手……?? ん~…。聞いたことがない…。もしかして実現すれば、「日本人初」かぁ!?
 こんな感じで、元々「アラブのサッカー」には興味をもっていたんです。しかし、一言で「アラブのサッカー」と言っても、普通、アラブ諸国のサッカーリーグに「コネ」がある知り合いなんて、いないもの…。「接点」があまりにも、無さ過ぎる…。ところが、今、こうして、目の前に「アラブのサッカーチーム」が現れたのです…。しかも、「UEAチャンピオン」である、「アル・ワハダ」…。
 「究極サバイバル生活」&「究極就職活動」の真っ只中にある、Yoji…。
 この「チャンス」に食いつかないわけが、ないでしょう!!!!!
 ここぞとばかりに、情報収集開始!!「アル・ワハダ」の選手やスタッフに聞き込みします!!(ちなみに、「アラビア語」は挨拶しか分かりません。あとは「英語」で会話します。アラブ人…「英語」が上手です!!)
※「アル・ワダハ」の練習に潜入!!
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 …………………………………
 しかし、情報収集開始後、わずか「10分」…。大変、ショッキングな情報が早くも耳に飛び込んできました…。
 何と、UAEのプロサッカーリーグは、
 「外国人GKの参加禁止」
 …という、UAEサッカー協会の規則があるらしい…。
 ガーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!!
 これって、「中国プロサッカーリーグ」と同じじゃん…。中国時代の嫌な記憶が甦る…。しかも、理由も一緒でした。 「自国のGKのレベルが低くて、もし『外国人GKの参加OK』って認めたら、多数のチームが外国人GKを雇って、自国のGKの出番が減り、余計に自国のGKのレベルが落ちてしまうから…。」
 けど、よく話を聞いてみると、この「アル・ワダハ」の正GKは、「モロッコ代表」らしい…。んっ!?「モロッコ代表」って、「外国人GK」じゃん!!これは一体、どういうことなのか!?
 …これに関しては、話が少々、ややこしいのです。確かに、「UAEプロサッカーリーグ」では、「UAEサッカー協会」が定めた規則「外国人GKの参加禁止」があり、どうやっても外国人GKは「UAEプロサッカーリーグ」に参加できないのですが、この「モロッコ代表」のGKは、実は、現在、行われている「アジア・チャンピオンズリーグ」という、「アジアサッカー連盟」の主催する大会のため「だけ」に獲得されたGKで、つまり、「外国人GKの参加禁止」というルールが適用されない、「アジア・チャンピオンズリーグ」専用のGKだったのです。だから、この「モロッコ代表」のGKは「アジア・チャンピオンズリーグ」が終われば、「UAEプロサッカーリーグ」には参加せず(できない)、そのままモロッコに帰る…というわけです。分かりました!? まあ、アラブのサッカー界では、実はよくある話なんです。彼らは「オイル・マネー」で、潤いに潤っています。言ってみれば「成金チーム」…。以前もどこかのアラブのプロサッカーチームが、「アジア・チャンピオンズリーグ」のため「だけ」に、たった「1ヶ月間」の短期契約で、元ブラジル代表のロマーリオを、天文学的サラリーで雇っていました。要は、この「モロッコ代表」のGKも、それと同じってわけです。
 こうして、早くも、「UAEプロサッカーリーグ」へ挑戦する『夢』が、打ち壊されたYoji…。
 しかし、2秒で気持ち切り換え!!!
 「アラブ」は別に、UAEだけじゃない!!!
 またまた、情報収集開始!!!
 ……………………………
 そして、いろんなことが分かりました。
 どうやら、「エジプト」、「カタール」、「モロッコ」…辺りのプロサッカーリーグは、「外国人GK」の参加「OK」らしい…。なるほど!!これは、良いこと聞いたぞ!!
 さらには、「バーレーンのリーグは、レベルも環境もヒドイ。」「アラブでプレーしたいなら、誰かコネのある人物がいないと厳しい。」「日本企業のスポンサーが付いていれば、契約できるかも。」「雨は、年に2回しか降らない。」「日中は暑過ぎて(約50度!!)、練習も試合もできない。全部、ナイター。」……などなど、いろいろ良い情報をゲットできました!!
 …ところで、「UAEチャンピオン」にして、「アジア・チャンピオンズリーグ」にて、Jリーグの「川崎フロンターレ」や「浦和レッズ」と共に決勝トーナメントまで勝ち残っている、この「アル・ワハダ」の実力ですが…。これは、あくまでも「客観的」に練習を外から見た感想であって、実際、一緒に彼らとプレーしたわけじゃないので、一概には言えないのですが……… まあ、正直なところ、「え!?これで本当に『UAEチャンピオン』!?これで本当に『アジア・チャンピオンズリーグ決勝トーナメント進出』!?」って感じでした。特に、目を引いた選手は……「0(ゼロ)」。「技術」「身体能力」「意外性」「独創性」「一発芸」「奇想天外なプレー」「相手をおちょくるプレー」「なまけ癖(笑)」…どれをとっても、ホンジュラスの「怪物プレーヤー」達と比べると、どうしても1ランク見劣りしてしまうのです…。唯一、目立ったのが、「アジア・カップ」の日本戦でも連発していた「ラフプレー」…。練習中、味方同士で「ラフプレー」合戦(笑)。そして、あわや味方同士で「乱闘」のシーンも…。だからか、このチーム…妙に怪我人が多いんです(笑)。駄目じゃん!!(笑)
※「アル・ワハダ」の選手達と記念撮影。向かって1番右の背の低い選手は、「イズマイル」という選手で、前々回の「U-20W杯」の「MVP」です。おそらく現在の「UAEベストプレーヤー」です。先日の「アジア・カップ」や、「オリンピック」予選の日本戦などにも出場しているので、見覚えのある人もいるのでは!?
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 そんなこんなしていると、何やら「アル・ワハダ」のコーチが1人、僕に話しかけてきました。しかも、何だか妙に嬉しそうだ。それに、よく聞くと……「日本語」!?
 「ニホンジン ノ GK デスカ??」
 「偶然」やって来た「ド田舎」「未知の世界」…「バッド・オーセー」で、「偶然」、「UAEチャンピオン」の「アル・ワハダ」に出会い、今度は、「日本語」で話しかけてくるコーチが出現…。もう、頭がこんがらがって、何が何だかわけが分かりません(笑)。
 この、「日本語」で話しかけてきた「アル・ワハダ」のコーチ…。日本人じゃありませんよ!!何と、ブラジル人です。では、なぜ「日本語」が話せるのか…??
 「ワタシ、『東京ヴェルディ』 デ 8年、『セレッソ大阪』 デ 2年、『清水エスパルス』 デ 2年… ゼンブ デ 12年間、Jリーグ デ GKコーチ シテタ ヨ!!」
 ますます、わけが分からなくなります(笑)。このコーチの名前は、マルキーニョ。GKコーチです。ちょっとネットで調べたところ、「JリーグでGKコーチをしていた。」というのは、本当でした。我らが「KINGカズ」こと、三浦知良選手とはブラジル時代からの旧知の仲のようで、結婚式にも出席したそうです。その他には、現在、東京ヴェルディ監督のラモス氏、サッカー解説者の松木安太郎氏、都並氏…などとは凄く仲が良いらしく、いろいろ嬉しそうに、「日本語」で語ってくれました。話だと、各年代の日本代表のGKコーチもしたことがあるらしく、現日本代表GKの楢崎選手や、元日本代表GKの土肥選手、下田選手も指導したことがあるそうです。向こうもまさか、こんなオーストリアのド田舎で、「ニホンジンGK」と出会うなんて思いもよらなかったからか、本当に嬉しそうに、「日本語」で話してくれました。僕が世界のどこに居ても、中国人を見つけると「中国語」で無性に話しかけたくなる…のと同じような感じなのでしょう(笑)。
※「アル・ワハダ」の選手、スタッフ達と記念撮影。僕の後ろが、マルキーニョです。陽気で、親切な人でした。
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 それにしても、なぜ、こんな所で、「Jリーグで12年間、GKコーチをしていた人物(ブラジル人)」と、知り合うのか?? その前に、何でこんな所に、「UAEチャンピオン」が居るのよ!? これはもう、「偶然」以外の何者でもありません…。 ただ、「『15分間』の決断。」で、「プロのGKコーチ」とGK練習「できない」「しない」…にも関わらず、「バッド・オーセー」には「行く」…と決断し、一歩前に進んだこと…。そして「怪我」…。もし、怪我が無ければ、僕はこの日の「午前10時」から「プロのGKコーチ」とGK練習して、終わったらそのまま、その日の内に、ソッコウでザルツブルグに帰るつもりでいました…。そうしたら、この日の「午後」に、こうして「アル・ワハダ」&「Jリーグで12年間、GKコーチをしていた、マルキーニョ」に知り合うこともなかった…。不思議な巡り合せです。
 僕が最も尊敬するGK……このブログの中で何度となく登場してきた、「元パナマ代表正GK」…ドナルド・ゴンサレスに関して、以前、こんなおもしろいエピソードがありました。
 4ヶ月前…。「パナマ編」…。僕がまだ、パナマに居た頃…。その時、僕は、ドナルド・ゴンサレスと同部屋で生活していました。
 ある日の深夜0時…。ドナルド・ゴンサレスが僕に「これから、カジノに遊びに行ってくるわ!!」と言って、部屋を出て行きました。僕は、「また、遊び人のドナルドが出て行ったよ…。」くらいに思っていました。ドナルド・ゴンサレス…実は結構、遊び好きなのです(笑)。 …で、ドナルド・ゴンサレス、結局、その夜はカジノで遊びまくり、早朝5時に部屋へ帰ってきました。「さすが、ドナルドはタフじゃのう…。」 感心半分、呆れ半分(笑)。しかし、その後、ドナルド・ゴンサレスが、神妙な面持ちで僕に話しかけてきたのです…。
 「Yoji…。カジノに遊びに行ったら、『偶然』、そこに現パナマ代表監督のギマラエス(昨年のW杯のコスタリカ代表監督)も遊びに来ててな…。そこで俺達、意気投合して、ギマラエスから『ドナルド、パナマ代表のGKコーチをしてくれないか?俺と一緒に働こう。』って誘われてさ…。俺、パナマ代表GKコーチに就任することが決まっちゃったよ!!」
 ……………………………
 えええええええええええええええええええええええええ!!!!!?????
 ビックリしました…。当のドナルド・ゴンサレス本人も、ビックリしていました(笑)。
 ちなみに、ドナルド・ゴンサレスと、現パナマ代表監督ギマラエスは、元々、面識があったわけではありません(お互い、その存在は知っていたかもしれませんが)。そのカジノで、初めて知り合ったのです。
 結局、『成功』する人っていうのは、「遊び」で外に出ても、『成功』するために必要な「偶然」に出会う…。それはもう、「努力」とか「頑張り」とか…そんなものは超越した世界であり、「偶然」としか言いようがない…。ただ、「偶然」を引き寄せる「コツ」はあると思うんです。僕はこれまで、本当にラッキーなことに、各国のサッカー代表選手達と共にプレーしたり、同じ釜の飯を食って生活する機会があったりして、その中で、いかに「成功者」が「偶然」を引き寄せて『成功』していってるか…それを身近で見てきました。言葉で説明するのは難しいですが、「笑顔」と「まず外に出てみること」、そして「心の余裕」…が、大変、重要なキーポイントになっているのは、間違いないです。
 結局、僕は怪我を治すために「バッド・オーセー」に残り、1人でリハビリしていくことになりました。その間、何度か「アル・ワハダ」の練習場に行き、「アル・ワダハ」のGKや、同じく怪我をしている「アル・ワハダ」の選手達と一緒にランニングをしながら、いろいろ話をして、仲はさらに深まっていきました。何人かの選手からは「俺達と一緒に練習しようよ!!」と誘われました。「やりたいのは山々なんだが、今、怪我してるからできないんだよ!!」と答えました。「俺達と一緒に、アラブに行こうぜ!!」とも誘われました。「アラブでプレーするチャンスがあれば、当然、行くよ!!」と答えました。監督、コーチ、ドクター等は全員ブラジル人で、中にはスペインに居たことがあってスペイン語が話せる人物も居て、またまた「スペイン語」が生きました。「ホンジュラスに行って、中南米人の文化や、スペイン語を学んでいなければ、この人達とこんなにもコミュニケーションはとれなかっただろう…。今まで積み重ねてきた『経験』が、ここにきてフル活用されている…。」と、改めて実感しました。
 しかし後日、「アル・ワハダ」の練習は突如「完全非公開」となり、練習場は「関係者以外立ち入り禁止」となってしまいました。スタンドからの観戦も禁止…。
 けど、これが「運命」なら、僕は逆らいません。今までの僕なら、それでも何とか頼み込んでコミュニケーションをとろうとしたかもしれませんが、今の僕は違います。
 最近、購入したビジネスの本に、こんなことが書いてあって、凄く衝撃を受けました。「セールス」に関して…。
 「セールスの目的は相手を説得することではなく、相手が買う確立が高いかどうかを判断すること。」
 「だから営業マンは、購入する確立が高いお客にだけ時間を使い、購入する確立が低いお客は、さっさと断らなければならない。」
 もっと詳しくこの本には書いてあって、
 「通常のセールスでは、『No』と言うお客を、『Yes』と言うように説得する。しかし、欲しくない時に売り込まれると、お客は営業マンのことを、害虫のように扱う。営業マンの側としても、欲しくない客を一生懸命、説得し、その挙句に断られると、大変なエネルギーの損失。断られるたびに、自分が否定された気分になり、自己嫌悪に陥る。」
 「ところが、ちょっと考えてみれば分かるように、『No』というお客を説得するより、『Yes』というお客を成約するほうがよほど効率が良い。商談の席で『この商品が必要ですか?』と質問し、その答えが『Yes』なら、説得する必要がないので、商談を続ける。『No』だったら時間がかかるので、商談を終わりにして帰る。極めてシンプル。」
 「マーケティングで見込み客が100人集まったとする。その中で、今すぐ商品を購入する人数は5人だとしよう。1~100人まで番号を付けて、順に商談をしていくとする。まず1番目に、一生懸命、説得する。時間とエネルギーをかけた挙句に、断られる。次に、2番目の人を説得する。また、断られる…。もし仮に『今すぐ商品を購入する5人』が、95~100番目までに固まっていたとすると、95人に断られ続けるのである。時間とエネルギーを使い、説得、そして断られる。これが繰り返される。これでは、どんなに精神力があるセールスマンでも、自己嫌悪に陥ってしまう。」
 「この問題を別の角度から考えると、解決策は明らか。『Yes』というお客に早く巡り合うためには、『No』というお客に時間を使ってはならないのだ。」
 そして、大事な「心構え」として、こう記されていました。
 「お願い営業はしない。」
 「できるだけ早く『No』の返事を得る。」
 ……………………………………
 今までの自分の考え方が、180度変わった瞬間でした。
 確かに、自分にも思い当たるふしがあります。例えば、「GKは要らない」というチームに対して、それでも「いやいや、チャンスをくれ!何とか獲得してくれ!」と、強引に売り込んでいって、練習参加をしたことがありました。実際、メチャクチャ良いプレーをしました。けど、結局、そのチームは「GKが要らない」のです。そして、断られる…。すると、「あれ、自分の実力が足りなかったのか!?」…と、若干、疑心暗鬼になりかけました。『No』なものに時間をかけるのではなく、『Yes』を成約する…。
 そして、「頭を下げてまで、お願いはしない」…。自分の経験上、最初に「頭を下げて」お願いをした場合、ずーーっと主導権は相手に握られ続け、例え途中でうまくいっても、結局、最後には、また「頭を下げて」…別れることになる。
 だから、「アル・ワハダ」の練習が「完全非公開」「関係者以外立ち入り禁止」=「No」なのなら、それ以上、そこには関わりません。さっさと「さよなら」です。ただ、「アル・ワハダ」と出会ったおかげで、『Yes』を成約する上での、重要な「情報」「ヒント」が得られ、そして具体的な「イメージ作り」ができました。だから、「アル・ワハダ」には、本当に感謝です。 「シュクラン(アラビア語で『ありがとう』)」!!!
 当初は、「1週間くらいで、怪我は治るじゃろう。」と考えていましたが、これがなかなか回復せず、約3週間経った今でも、まだ痛みがあって、未だに「プロのGKコーチ」とGK練習できない状況です。ヨーロッパの「移籍市場」は、今月末(8月31日)に閉まってしまいます。もう、時間はほとんど無い…。しかし、「プロのGKコーチ」は、僕が「100%怪我が回復した状態」でテストに臨んでくることを求めているし、僕自身も、ここまできたら「100%怪我が回復した状態」でなければ、絶対にテストはしない覚悟です。先日、彼とは会い、一応「できれば今週水曜日にテストをする。」…っていう目安の日にちを決めましたが、もしその時、まだ怪我が回復していなければ、「断る」気持ちでいます。
 別に、サッカーの舞台は「ヨーロッパ」だけじゃありません。アラブ諸国のリーグは、来月から始まるそうです。「アラブの移籍市場は、来月末まで開いているらしい。」という情報もゲットしています(←「アル・ワハダ」の選手から)。可能性は「無限大」です。また、どんな「偶然」が起こって、どんな道が開かれるか分からない…。そう考えると、ワクワクします!!
 日本社会では、なるべく「偶然」が起こらないような仕組みになっています。待ち合わせ1つとっても、分刻みで携帯のメールで連絡を取り「今どこ?」「あと5分で到着。」…ってな感じで、「偶然」の入り込む余地はあまりありません。
 けど、携帯もTVも何も無い状況の中で、「偶然」に身を任せてみる人生も、案外、おもしろいです。「偶然」が『成功』を引き寄せる…。そして自分には、そういう「偶然」を起こすだけの、「運」があると信じています。
 オーストリアに上陸してからの約1ヶ月間…。全くの「0(ゼロ)」からスタートし、最初は、ボールを蹴ることはおろか、ランニングすることさえできない状況でした。全くもって、「サッカー」「チャンス」の匂いが漂わない日々…。それが、気がつけばこうして自分はまた「サッカー」「チャンス」に囲まれている…。今は怪我をしていて、まだ契約チームも決まってないからプレーはできていませんが、この調子でいけば、また1ヵ月後…自分にビックリするような展開が起きていたとしても、決して不思議ではありません。
 全く何も無い「0(ゼロ)」からスタートしたからこそ、よく分かるのです。1つ1つ「何か」が積み重ねられていき、1歩1歩「何か」に近付いていってることが…。確実に…。
 『成功』の予感がします。
 「GK」っていうのは元々、需要が少ない上に、「外国人GK」ともなると、国によってはその参加さえ禁止されてるリーグもある…。だから、もう「焦らず」活動していくしかないでしょう!!そうすれば、必ず自分にとって「ベスト」の移籍先が決まります!!
 これからも、「開き直って」「無心」「自然体」で、「時の流れ」と「偶然」に身を任せて、前に進んでいきます。それでどうなるかは、今後のお楽しみ!!僕自身も楽しみなんです!!(笑)
 では!!!

 

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「偶然」が導く、『成功』。」への2件のフィードバック

  1.  お、「いい流れ」がきましたね。
    おいらの人生の中でも何度か「いい流れ」の経験があります。
    まるで潮の満ち引きのようにググっとカラダを押してくれるものすごい「チカラ」を感じますよね。
    そういう時は今までのもがいても進めなかった逆境がうそのように、天気も風向きも味方になるんですよね。
    「逆風」のときの笑顔が「順風」を招くんでしょうね。
     

  2.  あごちさん。
     
    コメントありがとうございます!もし、今、まとまった時間ネットをすることができる環境なら、あごちさんのブログをゆっくり拝見したいのですが…。「
    まるで潮の満ち引きのようにググっとカラダを押してくれるものすごい「チカラ」を感じますよね。
    そういう時は今までのもがいても進めなかった逆境がうそのように、天気も風向きも味方になるんですよね…」
     
    あごちさんの言う通りです。人によって僕の状況の捉え方は様々だと思いますが、僕自身はあくまでも「いい流れ」と信じてます。
     
    『「逆風」のときの笑顔が「順風」を招くんでしょうね…』 どんな時でも「笑顔」だけは忘れず活動してきました。これからもそれを継続して、必ず『成功』を掴み取ります!!
     
    貴重なコメント、ありがとうございました!!

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