【GK論】横浜Fマリノスからの「GKコーチ兼選手」の条件提示を断り(?)榎本哲也選手が浦和レッズへ移籍!そもそも「コーチ兼選手」って可能なのか?


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★前回ブログは!⇒『【感動】就職したら絶対「引退」せねばならないのか?彼が社会人になっても「本気でサッカー続ける」ワケ』(☜)

 

それは「衝撃的」なニュースでした。

下部組織から横浜Fマリノス一筋で長年プレーしてきたGK榎本哲也選手が、浦和レッズへと移籍したのです。

しかも、横浜FMからは「GKコーチ兼選手」の条件提示を受け、それが榎本哲也選手の浦和移籍に繋がったという声も出ています(真相は定かではありませんが)。

もし、これが「本当」だとすれば、個人的には納得がいきません。

 

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※昨シーズン途中から正GKの座を奪取すると、以降、素晴らしい活躍で横浜FMを支えた榎本哲也選手。このように「榎本哲也選手を賞賛」したツイートは数えきれません。

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「引退後はGKコーチとして受け入れる」というオファーではない

あくまでも、もし、横浜FMが行ったとされる榎本哲也選手への「GKコーチ兼選手」という条件提示が「本当だったら」と仮定して話をします(真実は分からないのであくまで「仮定」です)。

横浜FMのこの「GKコーチ兼選手」という榎本哲也選手への条件提示について、一部では「引退後もGKコーチとして受け入れてくれるなんて、考えようによっては榎本哲也は厚遇されているじゃないか。大切にされているし、恵まれているじゃないか」という声もあるのですが、この認識は間違っています

 

兼選手」なのです。

 

つまり、「選手」でありながら、「今現時点」で「GKコーチ」も兼任して行う…という事です。決して「引退後にGKコーチとして受け入れる」というオファーではない。ここは非常に重要なポイントです。

 

そもそも「コーチ兼選手」って可能なのか?

この聞きなれない「コーチ兼選手」という職業。果たして「可能」なのか?

僕は榎本哲也選手の置かれたあらゆる「状況」を見た時、「現在の」彼が「GKコーチ兼選手」を行うのは「不可能」だと考えます。だから、この条件提示は榎本哲也選手にとっては、実質「引退勧告」に近い。その「理由」をこれから詳しく説明していきます。

 

実は僕自身、この聞きなれない「コーチ兼選手」という職業を行った経験が過去にあるのです。

それは2010~2011年のアルビレックス新潟シンガポール時代(☜)。※以下「アルビS」。

僕は2シーズンに渡りアルビSの「GKコーチ兼選手」を務めました(☜)。

 

ただし、当時の僕の「状況」は、現在の榎本哲也選手の「状況」とは、全く異なります。

僕は2009年からすでに「現役引退」して立正大学体育会サッカー部で「GKコーチ」として指導者人生を開始(☜)していました。現在進行形でバリバリ現役選手として日本のトップリーグで活躍している榎本哲也選手とは「状況」が全く異なります。

しかも僕がアルビSから受けた「GKコーチ兼選手」の条件は「若いGKが2人居て、山野には彼らを『GKコーチとして育てる』事をメインで働いて欲しい。けど、GKがその2人しかいないため、彼らに何かあった場合…緊急事態には『選手(GK)』としてプレーして欲しい。だから山野の選手登録も行う」…でした。

つまり、9割9分は「GKコーチ」に専念。残りの僅か1分だけ「選手(GK)」という役割です。限りなく「GKコーチのみ」に近い「兼選手」。よって、紅白戦でも「既存の2人のGKに怪我など緊急事態がない限りはプレーしない」事になっていました。

僕自身、2009年に引退してGKコーチに転身して以降「GKコーチ」という職業に心からの「幸せ」を感じていたのもあり、「選手」としての未練は全くなかったので、このアルビSからの「GKコーチ兼選手」の条件提示の「内容」は、問題なく「受け入れられる」ものでした。

ただ、紅白戦すらプレーできない状況下で「緊急事態」のために選手(GK)としてのコンディションやモチベーションも保たねばならないのは非常に難しい任務でしたが…(全体練習前後に選手のシュートやクロスを受けるなど個人練習していました☜)。あとは既存のGKが怪我で離脱などの「緊急事態」をつくらないために、練習メニューや調整方法も入念に考えていました。GKたちもよくやってくれたため、おかげで2シーズンでGKたちに大きな怪我も退場も累積警告もなく、自分が出場せねばならないような「緊急事態」が起こる事なく、無事、任務を全うでき、「クラブ史上初タイトル」(☜)も獲る事ができました。

 

しかし…。

では、これが榎本哲也選手だったら、どうでしょう?

 

昨年、「選手」で素晴らしい活躍をした榎本哲也選手。年齢は33歳とGKとして最も円熟味が出てくる時期。「さあ、来年もバリバリ『選手』で活躍して結果出すぞ!」と思っていた矢先に「GKコーチ兼選手」の条件提示など受けたら…そりゃあ「受け入れられる訳がない」に決まっている。榎本哲也選手が「『選手』として評価されていない」と感じるのも無理がありません。

もし仮に昨年、榎本哲也選手が全く試合に出られず、本人も「そろそろ引退かな…」と考えていたとすれば、横浜FMからのこの「GKコーチ兼選手」という条件提示は榎本哲也選手にとって「良いオファー」になった可能性もありますが…。

けど、榎本哲也選手の「現在の状況」は、全くそうじゃなかった。昨年、素晴らしい活躍をしたばかりだし、「まだまだバリバリ現役選手としてプレーしたい」強い気持ちがあるし、その実力もある。

そんな中で突然「引退勧告」ともとれる「GKコーチ兼選手」の条件提示を受けたとしたら…榎本哲也選手が長年プレーし愛する横浜FMを出て浦和に移籍してしまうのも「仕方ない」と言わざるを得ません。まだ「選手」として勝負したいなら、「その選択(浦和移籍)しかなかった」とさえ言えます。

 

「コーチ兼選手」が「可能」なパターンは、大きく分けて「2つ」

僕は「コーチ兼選手」が「可能」なパターンは、大きく分けて「2つ」あると考えます。

まず1つは、前述したアルビS時代の僕のように「9割9分、コーチに専念する」というもの(僕は榎本哲也選手が受けた条件提示はこっちだったと推測する。その理由はまた下に書きます)。あくまで「コーチ」業がメイン。ただしこれは「まだまだバリバリ現役選手としてプレーしたい」強い気持ちがあり、その「実力もある」榎本哲也選手からしたら、当然、受け入られるものではないので、「現在の」榎本哲也選手にとっては「不可能」な話です。

 

では、もう1つのパターンは?

それは…

 

コーチ兼選手を務める人物が、既存の選手を圧倒的に凌駕する『選手』としての実力と実績をもっている」事。

 

この場合は、「バリバリ現役選手としてプレーしながら」の「コーチ兼選手」は「可能」となります。

 

これは一体、どういう事なのか?

これから詳しく説明していきます。

 

コーチは時に、選手を「切らねばならない」

「GKコーチ」の仕事って、皆さん、どういった事を想像しますか?

おそらく大半の人が「GK練習をする」とお考えだと思いますが、実はそれだけではありません。仕事は多岐に渡ります。

「GK練習をする」にしても、1人1人のGKの長所や短所を細かく分析し、かつ次の対戦相手も分析し、現在のコンディションから試合時に最高のコンディションに仕上がるように逆算もして、あらゆる事を計算して練習メニューを作成せねばなりません。また、セットプレーの守備なども分析して作成し、チームに落とし込まねばなりません。そういった事が、「バリバリ現役選手としてプレーしながら」兼コーチとして行うのが果たして「可能」か?榎本哲也選手は、できるか?

当然「コーチ」として、コーチングスタッフのミーティングにも参加せねばなりません。コーチングスタッフ間のミーティングでは、「選手には絶対に言えない事」も内密に話をせねばなりません。そういった事を、選手と距離が近い「コーチ兼選手」が選手に口を割らず黙って秘密を守れるか?

また「選手」として個人的に仲が良い選手、悪い選手がいたとしても、「コーチ兼選手」の場合、「コーチ」としてどの選手とも「公平」に接さなければなりません。そういった事ができるか?

 

そして、もう1つ「重要な問題」。

 

「どのGKを起用するか?」というテーマはどうするのか?

 

最終決定は通常、基本的に監督が下しますが、チームによってはGKコーチが決める場合もありますし、決めないにしても監督に「どのGKが良いか」など進言します。

 

コーチは時に、選手を「切らねばならない」のです。

 

その時、もし榎本哲也選手が「GKコーチ兼選手」だったとしたら、「次のスタメン、俺」て言えるのか?飯倉大樹選手を「切る」事ができるのか?それで飯倉選手や他のGKたち、他のポジションの選手たちは納得するのか?

 

まず「言えない」し、「切れない」し、飯倉選手含む他のGKたちや他のポジションの選手たちが「納得する訳がない」。

 

「コーチがメイン」のコーチ兼選手(僕のアルビS時代のような形)なら「選手を切る」選択はできますし、時には心を鬼にして切らねばならない事も実際にあるのですが(「次のスタメン、俺」はさすがにできないが)、それ以外で、「バリバリ現役選手としてプレーしながら」これが「可能」なコーチ兼選手は、前述したように「コーチ兼選手を務める人物が、既存の選手を圧倒的に凌駕する『選手』としての実力と実績をもっている」場合のみ。例えばノイアーがドイツ5部リーグで「GKコーチ兼選手」を務めれば「次のスタメン、俺」って言っても誰もが納得できるかもしれませんが、通常は「不可能」です。まして榎本哲也選手と飯倉選手はずっと「紙一重」で正GKを争ってきたライバル…まず、無理です。

 

つまり、「コーチ兼選手」が「可能」なパターンは大きく分けて「2つ」ありますが、いずれも「現在の」榎本哲也選手の「状況」的に、実行するのはほぼ「不可能」だという事です。

 

岩政大樹選手がファジアーノ岡山から東京ユナイテッドに「コーチ兼選手」で新加入しましたが、それでも先ほどのノイアーの例のように「5部リーグ」だから「可能」なのであって、これがJ2やJ3では「不可能」だったはずです。それくらい、「バリバリ現役選手としてプレーしながら」の「コーチ兼選手」は、いろんな意味で凄く難しいのです。

 

他にも大きな「悪影響」を与える榎本哲也選手への「GKコーチ兼選手」の条件提示

ここまで述べてきた事を見て頂いてもお分かりのように「バリバリ現役選手としてプレーしながら」の「GKコーチ兼選手」は榎本哲也選手の「現在の状況」的にほぼ「不可能」に近い事から、おそらく横浜FMが榎本哲也選手に行った「GKコーチ兼選手」の条件提示は「2つ」のパターンの内の前者…「9割9分、GKコーチに専念」の方だったのだと推測します(あくまでも僕の「推測」に過ぎません。真相は本人たちにしか分かりません)。だからこそ榎本哲也選手は「『選手』として評価されていない」と後に語ったのだと思います。

これは一見、単なる「GKコーチ兼選手」の条件提示に見えますが、榎本哲也選手にとっては実質「引退勧告」に近い非常通知。昨年、素晴らしい活躍を見せ、「まだまだバリバリ現役選手としてプレーしたい」強い気持ちがあり、その「実力もある」榎本哲也選手からしたら到底「受け入れられない」ですし、「移籍もやむなし」の状況だと思います。「選手」として勝負したいなら、移籍するしか道はなかった。

 

で、僕は今回の榎本哲也選手への横浜FMの「GKコーチ兼選手」の条件提示が明るみに出た事は、他にも大きな「悪影響」を与えると考えます。

 

榎本哲也選手に「GKコーチ兼選手」の条件提示をする…という事は、既存の「GKコーチ」である松永成立氏は「いらない」と言っているようなもの。もし、この榎本哲也選手への「GKコーチ兼選手」の条件提示が「本当」だとすれば、横浜FMとしては昨シーズン限りで松永成立氏を「切りたかった」という事になります。実際、榎本哲也選手が仮にこの条件提示を受け入れていたとしたら「そうなっていた」可能性は高いし、少なくとも松永成立氏は「そう」捉えます。

松永成立氏は昨年、「選手たちの前で」(☜ここ重要ポイント)モンバエルツ監督に対して「拳を握り、殴りかからんばかりの勢いで大声を上げて」口論になった「問題」を起こしています。※この「問題」に対する僕の見解は⇒【横浜FMモンバエルツ監督と松永成立GKコーチの「口論」問題は、果たして「あり」なのか?】(☜)

海外であればこのような「問題」を監督の「部下」であるコーチが起こしたら、翌日…いや、当日の内に問答無用で「解雇」になってもおかしくない(☜)ので、仮にモンバエルツ監督が「来季(2017年シーズン)は、もう松永成立はいらない」とチーム幹部に伝えたとしても(あくまで仮説)、何ら不思議ではありません。

そういう「問題」があったからかどうかは分かりませんが、長年、横浜FMでGKコーチを務めた松永成立氏が居るにも関わらず、チームは榎本哲也選手に「GKコーチ兼選手」の条件提示をした。実質「もう松永成立はいらない」と言っているようなもの。最終的に榎本哲也選手が浦和に移籍した事でこの話はなくなりましたが、明るみに出てしまった事で、松永成立氏としては当然おもしろくないし、モンバエルツ監督やチームへの「不満」はより一層、増大するでしょう。監督とコーチが対立しているチームが一枚岩になれる訳がない(☜)。そうなると最悪、チームが崩壊してしまう恐れも…。

 

つまり今回の榎本哲也選手への「GKコーチ兼選手」の条件提示と、それが「明るみに出てしまった」事は、結果的に横浜FMというクラブに対して様々な多大なる「悪影響」を与えた事となります。

 

こういう状況で2017年の新シーズンを迎える「オリジナル10」の「名門」横浜Fマリノスは、果たしてどうなるのか…?この逆境を乗り越え、「結果」を出す事ができるか…?

 

今季の横浜FMに、大いに注目しています。

 

そして、33歳にして「初の移籍」となった榎本哲也選手の「これから」にも注目しています。浦和での日本代表GK西川周作選手(☜)との正GK争いは目が離せません(2人とも顔もよく似ている)。

 

最後に。同じく元横浜FMのGK榎本達也選手が、昨シーズン限りで引退されました。こちらの榎本達也選手について書いたブログ【なぜ、FC東京GK榎本達也選手は、突然、出番がきても結果を出せるのか?】(☜)は、2015年に書いたのですが未だにアクセスがとどまる事を知りません。榎本達也選手からは本当にたくさんの事を学ばせて頂きました。長い現役生活、本当にお疲れ様でした。指導者に転身された榎本達也選手を、これからも心から応援しています。

 

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