「なぜホンジュラスはW杯に出場できないのか?」…僕が分析した「6つ」の<理由>の内、今日は「3つ」を書いていきたいと思います。
<理由 1> 「メチャクチャな監督人事」
昨年から今年にかけて、ホンジュラス代表監督を務めた人物は、一体、何人だと思いますか?
答えは…
「4人」!!
ハッキリ言って、メチャクチャです…(笑)。
2、3試合で解雇も、ホンジュラスなら日常茶飯事。ヒドイ時には、僅か1ヶ月足らずで監督交代します(これは何も監督に限ったことではなく、選手も同様です)。
「2006年ドイツW杯」予選においても、後にW杯出場を決めることになるコスタリカを相手に、何と「アウェー」で「5-2」勝利と、ありえない好スタートを切りながら、その後、監督交代…。
どうも、サッカー協会の「給料未払い問題」やら、マスコミとのトラブルが原因で、当時の監督が「やってられるか!」とブチキレて辞任してしまったらしいです。これでリズムを崩したホンジュラスは、このW杯も出場を逃してしまいました…。
<動画> 「2006年ドイツW杯 北中米カリブ海地区予選『コスタリカVSホンジュラス』」
(赤が「コスタリカ」、青&白が「ホンジュラス」)
「アウェー」だろうが何だろうが、勢いに乗ったら、誰にも止められない、ホンジュラスの攻撃サッカー!!相手の首都「サンホセ」で、コスタリカを「5-2」粉砕!!…しかしこの後、監督交代…。わけ分からん!!
ただ、今年ようやく就任が決まった「ルエダ」というコロンビア人監督は、前コロンビア代表監督で、顔からして怖い、メチャクチャ厳格な人物らしいです。何だか、上手くホンジュラスに足りない規律やチームワークを植えつけてくれそうな予感がします。
何より、いろんな人物にオファーを出すも断られ続けるなど、誰もやりたがらなかったホンジュラス代表監督の座を引き受けてくれたルエダに対して、僕は敬意を表したいです(笑)。彼の成功と、今度こそ、ホンジュラスサッカー協会が暴走しないことを祈るばかりです…。
<理由 2> 「長期プランに基づいた強化ができない」
勝っても負けても、わけの分からない理由で監督交代が起こってしまうホンジュラスでは、長期プランに基づいた強化など、できるはずもありません。
こんなメチャクチャな監督人事に振り回される選手の方も、たまったもんじゃありません(僕も経験しました)。…ってか、監督交代の度に当然、選ばれる選手も毎回、変わるわけで、同じメンバーで一定期間、練習することさえ、できません。
この際、誰がホンジュラス代表の監督でも良いので、せめてある一定期間だけは、強化の時間を与えてあげて欲しいものです。選手のポテンシャルは本当に高いので、それだけでも、チームはガラリと変わると思うのですが…。
<理由 3> 「北中米カリブ海地区のW杯出場枠が少ない」
昨年のドイツW杯における、北中米カリブ海地区のW杯出場枠は、「3.5カ国」。
前回記事で、「2002年日韓W杯」において、ホンジュラスが「あと1勝」という状況でW杯出場を逃した話を書きましたが、その時の出場枠が「3カ国」…。
しかし、この「3カ国」中、W杯に出場したメキシコは「ベスト16」、アメリカは「ベスト8」…。これだけの強豪がいる地域なのに、出場枠が「3カ国」というのは、やはり少な過ぎる気がするのです。
その反面、W杯での実績がほとんど無い「アジア」の枠が、異様に多い…。これは、どう考えても不可解な話だと思います。
「アジアは国が多いから」…というのが理由らしいのですが、僕は、国の「数」ではなく、「実力」と「実績」で、W杯の出場枠を決定すべきだと思うのです。つまり、「量より質で判断すべき」という考え方です。
アジアの近年の実績を見ると、日韓W杯を除けば、「94年アメリカW杯」でサウジアラビアが「ベスト16」に入った以外は、サッパリ…。全く結果が出ていません。見ていて、どうもアジアだけがW杯の「お客さん」って言うか、「場違い」な感じにさえ映ります。
対する、北中米カリブ海地区は、メキシコの「4大会連続W杯ベスト16」という結果を筆頭に、日韓W杯におけるアメリカの「ベスト8」、「90年イタリアW杯」におけるコスタリカの「ベスト16」…と、しっかり実績を残しています。
また、「クラブW杯」においても、アジア代表クラブは、北中米カリブ海地区代表クラブに、2大会連続で敗れています。昨年のドイツW杯のプレーオフでも、北中米カリブ海地区のトリニダード・トバゴは、アジアのバーレーンに勝って、W杯出場を決めています。
その他、ありとあらゆる国際大会での実績、アジアとの直接対決の結果…どれをとっても、北中米カリブ海地区は、アジアを凌駕しています。これでなぜ、アジアの方がW杯出場枠が多いのか!?
考えてみて下さい。日本が北中米カリブ海地区でW杯予選を闘うことを想像した場合、強豪メキシコ、アメリカ、そしてコスタリカ、ホンジュラス、ジャマイカ、成長著しいパナマやトリニダード・トバゴ、カナダ…などを抑えて、果たしてW杯出場枠の「3.5カ国」に入ることができるのか?
少なくとも、アジアで日本が成し遂げた「3大会連続W杯出場」という記録は、ほぼ、実現不可能でしょう…。
昨年のW杯で、日本に完勝したオーストラリアですが、試合前は、「W杯に長年、出場していない」という理由だけで、実力を過小評価する日本人も多くいました。
しかし、「なぜ」オーストラリアが長年、W杯に出場できなかったのかを冷静に分析してみると、それは、「南米とのプレーオフに回らなければならなかったから」…。果たして、同じ条件だった場合、日本はW杯に出場できたのでしょうか?かなり難しいと、言わざるを得ません。
オーストラリアはプレーオフで、アルゼンチンやウルグアイなど、南米の強豪国に負けてW杯に出場できなかっただけで、別に、弱いから出場できなかったわけではないのです。その証拠に、久々、出場した昨年のW杯で、オーストラリアは「ベスト16」に輝いています。
「出場枠が増えれば、ホンジュラスはW杯に出場できる!」とは思いませんが、北中米カリブ海地区というのは、日本人の想像以上にW杯出場が難しい地域だということが、少しでも多くの人に分かっていただければと思います。
「文字数制限」とやらで、これ以上、書けません。「つづき」は、またすぐ更新します!
では!!
つづく
※2005年。マラトン時代の写真。恩師であるハイロ・リオス監督(向かって左)とコーチのオラシオと(共にコロンビア人)。素晴らしい指導者であり人間性でした。
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やはり、アジア枠を増大することで経済成長著しいアジアの方々にもっとW杯に興味を持ってもらってお金使ってもらおうというFIFAの意図なんですかね~?オリンピック(IOC)も近年は放映権料やスポンサー契約料などの関連でビジネスマネー化してますもんね。
ホンジュラスがW杯に出られない理由…Yoji さんの説明で納得できました。W杯に出るために、協会を挙げての組織的なバックアップが必要なんですね。ただサッカーが上手いだけじゃW杯には出られないんですね。もし日本代表が北中米並みの熾烈なW杯予選を戦う羽目になったとしても、日本なら、それに対応した中長期的な強化プログラムをちゃんと組むでしょうし、アジアの中にいる今よりかは北中米にいる場合の方が刺激を受けて強くなっていたと思いますよ。せめて、アジアにメキシコ並みの圧倒的な強国が幾つか存在していたら、日本の協会や文科省は彼らに勝つための強化をしていたでしょうね。
geocareさん。
コメントありがとうございます。
geocareさんのおっしゃる通り、近年のスポーツ界は「ビジネス」の色が濃くなってきてますから、アジア枠の増大も、その辺が関係している可能性がありそうですね。この点に関しては、次回、より詳しく書いていきたいと思います。
「ホンジュラスがW杯に出られない理由」…これはあくまでも僕の「推測」に過ぎないので、絶対、正しいとは言い切れないのも事実ですが、やはり現地でサッカーする中で肌で感じたこともありますので、それを書かせていただいてます。
北中米カリブ海地区も、「枠」さえ増えればもう少し楽になるとは思うのですが、枠が少ない上に、「メキシコ」「アメリカ」という2大横綱がいるので、それがより、他国にとって出場を難しくしていますね。
geocareさんのご意見は大変、鋭く、
「もし日本代表が北中米並みの熾烈なW杯予選を戦う羽目になったとしても、日本なら、それに対応した中長期的な強化プログラムをちゃんと組むでしょうし、アジアの中にいる今よりかは北中米にいる場合の方が刺激を受けて強くなっていたと思いますよ。せめて、アジアにメキシコ並みの圧倒的な強国が幾つか存在していたら、日本の協会や文科省は彼らに勝つための強化をしていたでしょうね」
…このご意見は、本当に勉強になりました。
確かにその通りだと思います。それこそが、「勤勉」で「経済大国」である日本の「持ち味」であり、「武器」ですもんね!…ただ、これは逆に、ホンジュラスにとっては、最も欠けていることです。それがホンジュラスの弱さです。
「メキシコ並みの圧倒的な強国が幾つか存在していたら…」 メキシコほどではないですが、「オーストラリア」がアジアに加盟しましたし、レベルアップにつながると思います。
日本人としては、アジアの枠が多くて、簡単にW杯に出場できる方が、正直、良いのですが、やはりサッカー界全体を考えた場合、今回の記事のような意見になってしまいました。
また何か気付いたことがありましたら、お気軽にご連絡下さい。
貴重なご意見、誠にありがとうございました。