前々回の記事に「自分が移籍先を探す上で『最重要ポイント』の1つと考えているのは『サッカー環境』…」と書きましたが、もう1つ『最重要ポイント』の1つと考えている要素があります。それは…?
「治安」です。
「治安」と言っても、平和な日本で暮らしているとなかなかピンときません。しかし、「治安」の悪いホンジュラスで1年以上も生活してきた自分にとっては、これは正に死活問題なのです。
ホンジュラスは文字通り「ホンジュラス」…いや「デンジャラス」な国でした(このネタもそろそろ限界?)。貧しい中南米諸国の中でも「最貧国の1つ」と言われるホンジュラスでは、殺人、強盗、誘拐等の凶悪犯罪が日常的に頻発しています(しかも、それら犯罪の約8割が銃器使用)。具体的にどのように「デンジャラス」かは、こちらの「海外安全ホームページ・ホンジュラス」をご参照下さい。
→ http://www.anzen.mofa.go.jp/info/info4.asp?id=263
僕自身は、ホンジュラスで1年以上も生活していながら、危険な目に遭ったことは1度もありませんでした。本当、神様に「感謝」です…。
しかし「いつ、どこで、何が起こるか分からない」…ホンジュラスにおいて、常に「危険」に対して細心の注意を払わなくてはいけない生活は、精神的にボディーブローのように効いていきました。
深夜、睡眠中に外で銃声が聞こえることもしばしばで、恐怖は当然あるけど、それでも「プロサッカー選手としてコンディションを整えるために、しっかり眠らなければならない。」と自分に言い聞かせて、睡眠をとっていました。
そんなこんなしてたら、深夜、眠っている際に、隣の部屋に泥棒が侵入したことがありました(幸い、人間に危害はありませんでした)。この時は、本当に肝を冷やしました。また予断ですが、部屋で「タランチュラ」が出没することもしょっちゅうでした。危険なのは、人間による犯罪だけではなかったのです(笑)。
※昨年10月…。ホンジュラスにて。泥棒が入った直後の写真。騒然とするアパート住民…。
※手前の窓が、Yojiの部屋。奥の開いている扉が、泥棒が入った部屋…。正に紙一重!!本当に危なかったです…。神様、ありがとう!!(涙)
※通常、中南米の窓は泥棒侵入を防ぐため、厳重なる「鉄格子」が付いているはずなのですが、この部屋は2階ということもあり油断したのか、付いてませんでした。僕は「これでは落ち着いて夜も眠れない!」と思い、近くのゴミ捨て場に捨ててあったこれ↓を窓の前に設置しました。もちろん、こんなモノで泥棒の侵入を防げるとは思っていませんでした。ただ、これを置いておけば、泥棒が窓から侵入しようとした際「音」がするので、それで目が覚める…と考えたのです。しかし翌日、アパートの大家に撤去されました。おいっ!!(笑)
だからこそ、「治安」は「最重要ポイント」の1つに挙げざるを得ません。
「デンジャラスなホンジュラスでの生活を乗り切った俺には、怖いモノは無いわい!!」
…と思っていたのですが、どうも「おもしろプラン」の「この国」も、ホンジュラスに勝るとも劣らない危険な国らしいのです…。
「海外安全ホームページ」を見てみると、何と「この国」は「世界でも有数の犯罪発生率の高い国の1つ」…らしいじゃないですか!?おいおいっ!!しかもホンジュラスと違うのは「邦人の被害も頻繁に報告されている」…という点です。ホンジュラスでは「邦人(日本人)」の被害報告はあまり聞いたことがありませんでしたが、「この国」は頻発しているそうです。ただ、これに関しては「ホンジュラスには元々、観光であっても日本人はほとんど行かないので、だから日本人の被害報告が少ないだけ。」…とも言えます。しかし、どちらにしても「この国」も相当「デンジャラス」なのには違いないようです。
そこでちょっと、「ホンジュラス」と「この国」…どちらがより「デンジャラス」か、3つの観点から推測してみたいと思います。
<その1> 「地域情勢」
「海外安全ホームページ」によると、「この国」は危険な地域として「4つ」の都市の名前が挙がっていますが、対する「ホンジュラス」は…「全土」!!この勝負、「ホンジュラス」の勝ちかぁ!?ちなみに「全土」の中でも特に危険な都市として、首都の「テグシガルパ」と「サン・ペドロ・スーラ」が挙がっていますが、僕はその両方に住んでいました(笑)。しかも、その中でも「凶悪犯罪集団」が多く生息し、あまりに危険で「近付くな」と書かれている「サン・ペドロ・スーラ」の「セントロ東側地区」付近に住んでいました(笑)。
まあ、今でこそ「(笑)」と書けますが、当時は相当の「覚悟」をもってそこに移り住んだものです。「プロになれなければ、死ぬのと同じじゃ!」…くらいの気持ちでそこに移り住み、その時はどうにか『成功』をおさめました。
<その2> 「犯罪内容」
まず「この国」も「ホンジュラス」同様、白昼堂々、通行人がたくさん居ても犯罪が起こるようです。ただ「海外安全ホームページ」を見てみると、「ホンジュラス」に比べて「銃器」を使用した犯罪は若干、少ないイメージが持てます(推測の域を出ませんが…)。素手や刃物を使った犯罪も当然、危険ですが、「銃器」には敵いません。この勝負もやはり、「ホンジュラス」の勝ちか…!?
<その3> 「サッカーがらみの事件」
まず「この国」…。以前、「この国」ではプロサッカーリーグの試合中、判定に怒った選手が審判に詰め寄ったところ、何とこの審判も激怒し、腰に持っていたピストルでこの選手を発砲!!……そのまま逃走し、現在も逃走中…という事件が発生しています。信じられない!!
…しかし「ホンジュラス」も負けてはいません。元レンカ監督のマチャドは以前、僕にこういう話をしてくれたことがありました。「Yoji、あまり怒って審判に抗議するなよ。ワシも以前、審判に怒って詰め寄ったところ、その審判、腰にピストルを装備しててな…。それ以来、審判に抗議するのはやめたんだ。Yojiも気を付けろよ…。」
つまり、「ホンジュラス」でも「この国」と同様の事件が起こる危険性があったのです!!ひぃー!!
さらに「ホンジュラス」は世界で唯一、サッカーの試合結果が原因で「戦争」を起こした国です(エルサルバドルとの戦争。「サッカー戦争」と呼ばれる)。
そして「ホンジュラス」では、サッカー選手が事故や犯罪に巻き込まれて命を失ってしまうショッキングな出来事が度々、起こります。
また余談ですが、先日、行われた北中米カリブ海地区の王者を決める「ゴールドカップ」において、「ホンジュラス」との対戦前日にキューバ代表選手の内2選手が、謎の失踪事件を起こしています。この2選手は「亡命した」と言われています。直接「ホンジュラス」は関係の無い事件ですが、「ホンジュラスからむ場所、必ず何かが起こる」…のです。ん~…やはりこの勝負も「ホンジュラス」の勝ちなのか…!?
…と、このように両国を簡単に比べてみましたが、これはそもそも「勝ち負け」の問題ではありません。要するに、「この国」も「相当、危険」…ということです。
これは、もう1つの「最重要ポイント」=「治安」に引っかかる、とても大きな問題です。
そこで気になるのが、「チュニジア」です。
チュニジアは「海外安全ホームページ」によると、「危険情報」の発出はありません。これは大きい…。
それに今、僕が居る「オーストリア」も、「治安」に関しては申し分ありません。オーストリアの「治安」は、むしろ「日本」よりも良いくらいじゃないか?…とさえ思えるほどです。「治安」という観点から見れば、やはりこの2カ国はかなり魅力的です…(「エジプト」も「治安」は良くないらしい)。
ただ、「海外安全ホームページ」などの文面から想像するその国のイメージと、実際にその国に行って生活して感じるイメージとでは、大きな差があるのも事実です。
「海外安全ホームページ」によると「この国」では、「白昼でも1人で出歩いてはいけない。バス、電車、タクシー等…公共車両も危険なので使用すべきではない。レストランやショッピングモール等でも事件が起こる。夜も外出するべきではない。」…といった感じで書かれていますが、だったら1日中…いや、永久に部屋の中に引きこもっていろ!!…ということなのでしょうか?これを全て真に受けると、全く何も行動できないことになります。
けど実際は、ホンジュラスもそうだったのですが、必ずしも文面から想像するような「地獄」のような場所ではあるとは限りません。もちろん危険なのですが、しっかり気を付けて生活していれば案外、大丈夫なのです。
また僕は、2003年に中国で猛威を振るったあの「SARS」の時も帰国せず天津にずーっと残っていた経験もあります。日本では、それはそれはもう「地獄絵図」のような感じで連日「SARS」に関するオゾマシイ報道がされていたようですが、実際、そこ(中国)に住んでいた僕にとっては「普段とは全く違う中国の姿(いつもは人で溢れている中国の街が、『SARS』の時はガラガラだった)が見れて、めちゃラッキーな体験ができたのう!!」…ってなもんでした。
つまり、必ずしも報道などによる「情報」「イメージ」と、「実態」は一致しない…ということです。
※2003年「SARS」。天津にて留学生仲間達と。この後、写真の留学生仲間達は全員緊急帰国しました(僕以外)。結局、最後まで残った日本人語学進修生は、僕だけでした(涙)。そして「SARS」が猛威を振るったこの学期、ただの1度も授業を休まず「皆勤賞」を達成した語学進修生も、(多分)僕だけでした(涙)。それなのに、期末テスト後の成績表を見ると「欠席3日」となっていました(涙)。これには猛抗議して、その後、晴れて「皆勤賞」となりました!!(涙涙)
そして、一般的に「危険」だと言われることにこそ、実は大きな大きな「チャンス」が潜んでいるのです。
中国もホンジュラスも、行く前はいろんな人から散々「危険」だと聞かされていました。またTVやネットなどの情報も「危険」の一点張りでした。もう、ビクビク震えながら、決死の「覚悟」でこの両国に乗り込んだものです(笑)。
…しかし実際に行ってみると、「情報」や「イメージ」とは全く違う「実態」が待っていました(確かにホンジュラスは「危険」でしたが、予想ほどではなかった)。そして結局、「危険」だと言われていたこの2カ国こそが、僕の人生において最も大きな『成功』をもたらしてくれたのです。
…とは言っても、やはり「治安」が「最重要ポイント」の1つであることには変わりありません。ただ「この国」は、もうじき世界のあらゆる国々から大量に観光客が訪れることが確実で、だから「治安」に関しても国を挙げて改善に取り組んでいるのでは?…と推測できるのですが…。
まあ、それら全部をひっくるめて、最終的には自分に最も相応しい場所から「チャンス」がくると考えています。
今は、エジプト、チュニジア、オーストリア、そして「この国」…全ての可能性をもう1度「0(ゼロ)」から考え直して、全てに対して行動しています。その中で「この国」から「チャンス」がくれば、神様は「行っても大丈夫。」と判断したってことだし、「チャンス」が他の国からくれば「『この国』は危険だから行くな。」という神様の声だ…と解釈します。
どっちにしても、自分には「運」があるので大丈夫だと信じています!!
(けど、無理な行動はしないのでご心配無く…。)
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いや、まさに命懸け。
ちょっと気になるんですが、今はどこにいらっしゃるんですか?
あごちさん。
コメントありがとうございます。そうなんですよ…。ただ、イメージほど「治安」は悪くないと思うのですがね。今はまだオーストリアに居ます!怪我が治ってから、「プロのGKコーチ」とGK練習する約束があるので。怪我完治後、何かしらの展開が起こります!
Yojiさん、こんにちは!
私もホンジュラスの住民として、治安については日々考えさせられます。
ホンジュラス人さえも自分の国で安心できていない状況からして、この国の危険度がうかがえます。
事情のよくわかっていない外国人が犯罪に巻き込まれるだけでなく、
その国の人まで犯罪におびえている状況って、そうないのでは?
・・・と、言いつつも、
「それほど危険でもないよ。」 とも思います。それはYojiさんと同じかな。
危険についてばかり語ると、それを聴いた人はそれが全てと思うかもしれません。
それはあくまでも一部のこと。
こういう国にいると、ニュースや情報のとらえ方も変わってきますよね。
「それだけが全てじゃない」と、自分で考えて情報を選び、掴み取る力がつきました。
積極的に何かに取り組んでくると、ツキは向こうからやってくるんですね。
Yojiさんの最近の生活からそれを改めて感じた次第です。
待ってるだけじゃ、だれも何も与えてくれない。
思い出すきっかけを与えてくれてどうもありがとうございます!私もがんばろ。
たまみさん。
どうしても「ホンジュラス」を基準に考えてしまうところに、自分の「ホンジュラス」に対する無意識の愛着を感じる次第であります。
ホンジュラスの話ですから、たまみさんも僕が言いたいことがよく分かると思います。たまみさんは本当に凄いですよ!エクアドルだって、治安は決して良くなかったはずです。しかも女性の方が1人で行かれるのだから、本当、僕以上に凄いです。尊敬!
たまみさんのおっしゃる通り、ホンジュラス人でさえ、確かに自国の「治安」に対しては安心できてない状況ですね。けど貧しい彼らからしたら、だからと言ってすぐに「他の国に行こう!」なんて選択はできませんよね。そこで生活していくしかない。「SARS」の時に中国人に質問したんです。「SARS」にも関わらずみんな「笑顔」だったから「怖くないのか?」と聞いたところ、「怖がったってどうしようもないじゃん!俺ら中国人なんだから中国に居るしかないでしょ!」…って答えられました。確かに正論だと思いました。
たまみさんの感覚と自分の感覚は似ています。「それほど危険じゃないよ。」…と思う反面、「やっぱり危険は危険。」…と思う(笑)。このバランスですね(何、言ってるのか自分でもよく分かりません)。
たまみさんのおっしゃる「自分で考えて情報を選び、掴み取る力がつきました。」は、正に「行動した者」のみが身に付ける力だと思います。やってみなくちゃ分からない!けど、無理な行動はしない!(笑)
僕もいろいろ、たまみさんのコメントから学ぶことがでことができました。本当にありがとうございました!