「15分間」の決断。


 

 元日本代表・宮本選手、三都主選手が所属する「レッドブル・ザルツブルグ」の関係者(日本人)の方が、まだ知り合ったばかりの僕のために、親身になって「チャンス」を探してくれ、結果、「Yojiのプレーを見ても良い。」という、「プロのGKコーチ」が現れました。ザルツブルグに上陸してから「3週間」(当時)が経過し、やっと具体的な「チャンス」の話が訪れたのです。
 
 まず、何と言っても、この「レッドブル・ザルツブルグの関係者(日本人)」の方には、「感謝」の気持ちを述べたいです。この方は、現在「オーストリア・ブンデスリーガ」と「UEFAチャンピオンズリーグ」を闘う「レッドブル・ザルツブルグ」の中にあって、自分の業務だけでも目が回るほど忙しい状況の中、まだ知り合って間もない…しかも、どこのどいつかもよく分からない…僕なんかのために、オーストリア中のプロチームに電話し、「チャンス」を探してくれたのです。こんなに「ありがたい」ことがあるでしょうか!?(涙) 今の自分は「究極サバイバル生活」&「究極就職活動」の真っ只中にあります。だからこそ、このような「手助け」が「いかに、ありがたいことか」…が、通常の「10倍」分かるのです。とにかく、本当にありがとうございます!!(涙) 必ずや「日本代表」になり、この「恩」は返させていただきます…。
 
 
 
 ところが…。
 
 
 
 「レッドブル・ザルツブルグの関係者(日本人)」の方が、この「チャンス」の話を下さる前日…。
 
 
 僕は自主練習にて、怪我を負ってしまいました。「左足首の捻挫」です。
 
 
 前回の記事にも書いたように、この怪我の状態は、思った以上に悪いです。腫れてるだけではなく、内出血もしています。「歩くのも困難」な状態なのです。
 
 
 しかし…。
 
 
 「プロのGKコーチ」とGK練習(テスト)する日程は、何と「明日の午前10時」!!!!!
 
 しかも場所は、「Bad Aussee(バッド・オーセー)」っていう、全くもって聞いたこともない「未知の世界」…(一応、オーストリア国内ですが)。現在、居る、ザルツブルグからそこまで行くには、バスや電車を乗り換えて、「約3時間」もかかるらしい…。ってか、全く何もかも「未知の世界」だから、無事にそこに辿り着けるのかどうかすら、分からない…。
 
 
 さらには、「レッドブル・ザルツブルグの関係者(日本人)」の方からの、「チャンス」報告のメールを見たのは、この日の午後…。って、「明日の午前10時」から「プロのGKコーチ」とGK練習なら、もう、ほとんど時間無いじゃん!!!
 
 
 しかし自分は、「怪我をしている身」…。
 
 「歩くのも困難」な状態…。
 
 はっきり言って、GK練習できるような状態じゃない…。
 
 どうする…?
 
 「プロのGKコーチ」と、GK練習「する」のか?「しない」のか?「できる」のか?「できない」のか?
 
 「できない」としたら、それでも、「プロのGKコーチ」が待つ、「未知の世界」…「バッド・オーセー」に「行く」のか?「行かない」のか?GK練習「できない」なら、ザルツブルグから電話して事情を説明し、「後日に日程変更できないか?」交渉することもできる。無理して行く必要はない。…って言うか、今でこそ、どうにかザルツブルグの「ユースホテル」が「生活の拠点」となり、「衣食住」の問題に何とか目処が立って、生活が少し落ち着いてきたが、また「未知の世界」に行くとなると、ザルツブルグ上陸当初に味わった、地獄の「衣食住の確保」を、また「0(ゼロ)」から始めなければ、ならないのだ…。それでも、GK練習「できる」のなら当然「行く」が、「できない」なら、わざわざそんな「衣食住」のリスクを冒してまで、「行く」意味があるのか??
 
 
 ゆっくり考える時間があれば良かったのですが、残念ながら、もし「バッド・オーセー」に「行く」なら、あと「1時間後」のバスに乗らないと間に合わないのです(遠い場所で、しかも、待ち合わせが「明日、午前10時」なので、明日、行くのは不可能。行くなら、この日に行って、「バッド・オーセー」で前泊するしか道は無いのです)。 しかも、昨日まで全くこんな予定は無かったので、「行く」なら、全ての準備を、バス出発までの「1時間」の間で済ませなければなりません。「『バッド・オーセー』までの行き方を調べる時間」=「15分」…。「荷物を準備する時間」=「15分」…。「バス停まで移動する時間」=「15分」……。
 
 「1時間」(バス出発までの時間)-「15分」(「バッド・オーセー」までの行き方を調べる時間)-「15分」(荷物を準備する時間)-「15分」(バス停まで移動する時間)=「考える時間」=……「15分」……。
 
 
 「考える時間」=たったの「15分」しか無いじゃん!!! 正に、「即断即決」が求められている!!!
 
 
 この「15分」の間に、全神経を集中させ、走馬灯のように思いをめぐらせ……GK練習「する」のか?「しない」のか?「できる」のか?「できない」のか?「バッド・オーセー」に「行く」のか?「行かない」のか?……
 
 
 
 
 決断しました。
 
 
 
 
 まず、「プロのGKコーチ」との、GK練習……。
 
 「しない」ことを決断。…って言うか、正直、この怪我ではどうやっても「できない」です。これはもう、どうしようもない。もし仮に「できない」状態なのに「する」ことを決断して、足を引きずりながら、自分の力を「1%」しか発揮できなかったとしましょう。それでもこの世界では、その「1%」=「Yojiの実力」と見なされてしまいます。僕は「1%の実力しか発揮できない状態ならば、やる意味なし。」と判断しました。その判断は、以前の苦い経験の「教訓」でもあります…。
 
 3年前…(2004年)。僕は日本でサッカー環境を失い、「サッカー人生最大のどん底」…「半年以上」も、「ボールにすら触れない」…日々を過ごしていました。僕は「焦り」、この状況を何とか打破しようと、Jリーグチームに連絡を取り、どうにか、とあるJリーグチームの「練習参加(テスト)」を漕ぎ着けました。その時も今回と同様、「プロのGKコーチとのGK練習」でした。…しかし、当時、「半年以上」も「ボールにすら触れない」状態だった僕が、良いプレーをできるわけがありませんでした。結果は、散々たるもの…。シュートに対して、目ではボールが見えてても、体が動かない…。「ベストコンディション」なら止めれるボールでも、触ることすらできない…。言葉では表現できないほどの、「悔しさ」「屈辱」を味わいました。
 
 当時の僕の状態は、「10%」くらいだったと思います。それでも、この世界では当然、その「10%」=「Yojiの実力」となってしまうのです。あれから月日が経ち、ホンジュラスで徹底的に鍛え上げ、「プロサッカー選手」という『夢』も実現させ、あの頃とは比べ物にならないほど「成長」しました。しかし、先日、そのJリーグチームの関係者と連絡を取りましたが、もう2度と、僕に「チャンス」が与えられることはありませんでした。
 
 もちろん、後悔はありませんし、言い訳もしません。自分の「力不足」だったことも認めています。そして、1度でも僕に「チャンス」をくれたこのJリーグチームには、「感謝」の気持ちをもっています。しかし、唯一、心残りだったのは、「10%の実力しか発揮できない状態で、チャレンジしたこと」…です。この時、思いました。
 
 「結果は、駄目なら駄目で仕方がない。けど、自分の力が発揮できる状態でなければ、チャレンジする意味も価値もない。むしろ逆効果だ。」
 
 
 
 「チャンス」は、喉から手が出るほど欲しい……それが、今の僕の状況です。しかし、怪我がヒドイ…。「歩くのも困難」な状態です。ましてやGK練習なんて、できるはずもありません。「できない」んだったら、「しない」…。「自分の力が発揮できる状態でなければ、チャレンジする意味も価値もない。むしろ逆効果だ。」…。
 
 「チャンス」が目の前にあるのに、「チャレンジしない」という決断を下したのは、長い長いサッカー人生の中でも、「前代未聞」「初めて」のことです。今までは「情熱」と「勢い」だけで突っ走ってきた僕が、「極限」の状態の中で、自分に「ストップ」をかける決断ができるようになったのです。それは、ある程度、自分の力に「自信」が持てるようになったからできた決断であり、また、心に「余裕」が持てるようになったからできた決断でもあります。まあ、ただ単純に、「どうやってもプレーできる怪我の状態じゃないから、チャレンジしない。」という決断を下しただけの話でもあるのですが(笑)。
 
 
 
 じゃー、GK練習「できない」から、「しない」という決断を下したのなら、「バッド・オーセー」には、「行く」のか?「行かない」のか?
 
 まあ、正直なところ、普通に考えれば「しない」なら、行く意味はありません。ザルツブルグから「バッド・オーセー」に居る「プロのGKコーチ」に電話して、「怪我して、行けなくなりました…。」って言えば良いだけの話です。そうすれば、遠い遠い「バッド・オーセー」という「未知の世界」に行って、また「『衣食住』の確保を『0(ゼロ)』から始める。」という、「リスク」を冒さなくて済みます。そのキツさは、ザルツブルグ上陸当初に、嫌というほど、味わっています…(久々「死ぬ」かと思ったほどでしたから)。
 
 
 
 しかし…。
 
 
 
 ここはあえて「リスク」を冒し、「バッド・オーセー」に「行く」という決断を下しました。
 
 
 
 アントニオ猪木じゃないけど、人生「行けばわかるさ!」です。
 
 電話で連絡すれば良い話だけど、「3時間」かけて「未知の世界」にあえて行って、「プロのGKコーチ」に会って直接、話をしてみよう…。「今、怪我で練習できる状態じゃないから、別の日に延長してもらえないか??」と交渉してみよう…。「衣食住」の不安は確かにあるし、ようやく慣れてきたザルツブルグを離れるのは「リスク」もあるが、外に出れば、「何か」があるし、「何か」が起こる…。ここは、1歩、前に進んでみようじゃないか!!!
 
 
 
 …こうして、「15分間」という短い時間で決断を下し、僕はGK練習「できない」「しない」にも関わらず、遠い遠い「バッド・オーセー」という「未知の世界」まで「行く」こととなりました。雨が降る中、ドデカイ、ド重い、旅行カバンを抱えて…。
 
 
 
 「15分間」の決断は、果たして「吉」と出るのか?「凶」と出るのか?
 
 
 「決断」とか大げさに書きましたが、実は、「本能」のおもむくままに、「直感」で行動してるだけでもあるのですが(笑)。
 
 
 
 ただ、何にしても、「バッド・オーセー」に行って、「な、何じゃこりゃあ!?何で、こんな所に、こんな……??」って出来事が起こったのは、事実なのでした…。
 
 
 
 
 つづく
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