『パナマ編 ~最終回~』 3ヶ月前に出ていた「答え」…。さらば、パナマ!!それでも「感謝」を…。


 
 帰るに、帰れなかった…。
 
 ずっと前から、「日本に帰りたい。」と思っていました。しかし、帰るに、帰れませんでした。
 
 
 パナマに上陸してから、早1ヶ月が経過…。「パナマ上陸・2日目」にして、「サッカー人生最大の修羅場」「サッカー人生最大のカルチャーショック」を受けた僕…。その時、この3ヶ月間で何度目じゃろうか…「日本に帰りたい。」と本気で思いました。「今、自分に『流れ』がきていない。休養する必要がある。」と、直感的に思いました。これも、何度目か…。
 
 しかし僕は、そういう自分の「意思」と「直感」、そして「流れ」に反する行動をとり続けてきました。「パナマ観光」に目的変更したとは言うものの、実際は、ほとんど観光なんてしていませんでした。やっていたのは、サッカーです。ドナルドの所属するチョリーヨというチームで、「次のチャンスがくるまで、ここで練習だけさせてもらい、コンディションを整える。」ことを決断…。あの「右足首の怪我」が治って以降は、毎日、チョリーヨの練習に参加する日々を送っていました。
 
 「パナマが嫌なら、日本で練習すれば良いじゃないか。」…と思われる方も、いらっしゃるかもしれません。しかし僕は、2004年にアメリカから日本に一時帰国した際、日本で半年以上もサッカー環境を失い、サッカーの練習はおろか、ボールを蹴ることすらできない日々を経験しています。「日本でサッカー環境を確保することは、簡単ではない。」…ことを、よく知っていたのです。
 
 だから、どんなに「日本に帰りたい。」と思っても、どんなに「パナマは自分の居るべき場所ではない。」と分かっていても、そこ(パナマ)を離れられない…という、非常にジレンマを感じる状況に陥っていました。
 
 
 しかし、どういう理由があるにせよ、自分の「意思」「直感」「流れ」…に反する行動をいくらとっても、それは「成功」には結びつきません。いや、それどころか、そういう行動は、時として状況をより悪化させることすらあるのです。
 
 
 
 
 2007年3月29日(木)
 
 「パナマ上陸・1ヶ月と1週間経過」
 
 この日、問答無用で僕に「日本帰国」を決意させる「事件」が起こりました。
 
 
 何と、僕のデジカメが盗まれたのです。
 
 チョリーヨの選手と僕の2人で1つの狭い部屋(クラブ・ハウス)に住んでいたのですが、ある日、僕が部屋に帰宅してみると、隠しておいたデジカメが無くなっていたのです。
 
 これには、未だかつて無いほどのショックを受けました。なぜなら、僕の27年間の人生において、これほどまでに大事なものが盗まれた経験は無かったからです。人生初の経験でした。
 
 
 犯人は、察しがつきます。しかし、決定的な証拠はありません。それでも、警察の勧めで被害届を出し、「察しがつく犯人」を訴えます。そして、検察に行って、事情聴取をすることとなりました。
 
 
 …これは、どう考えても、「異常」な状況です。異国の地で、窃盗の被害に遭い、警察・検察ざたのトラブルに巻き込まれる…。悲しいのはもちろんのこと、僕はこの時、
 
 「これは、自分の『意思』『直感』『流れ』…に反した行動をとり続けてきた僕に対する、神様からの天罰じゃ。」
 
 と、しみじみ思いました。
 
 僕は「窃盗」という犯罪を絶対、許すことはできないし、デジカメも、何とか取り返してやろうと、本気で考えていました。しかし、ドナルド・ゴンサレス曰く、「事を大きくし過ぎると、今度は犯人が逆恨みして、Yojiに報復に来る可能性がある。カメラはまた買えば戻ってくるが、人生は戻ってこない。」…とのことでした。平和な日本では信じられないことかもしれませんが、治安の悪い中米では、こういうことが本当に起こり得るのです。
 
 
 さらには、1ヶ月間、住まさせてもらっていたチョリーヨのクラブ・ハウスからも、「出てくれ。」とチームから言われ、住む場所をも失ってしまいました。
 
 ここまでくると、もう、「日本帰国」以外に残された道はありません。選択の余地は無い。帰国するしかない…。
 
 
 こうして僕は、約9ヶ月ぶりに、母国・日本に帰国することとなりました。もはや、「日本に帰国したら、サッカー環境を失う可能性がある。」…と心配するような次元の状況ではありません。このまま「流れ」の悪いパナマに居続けることは、命の危険も有り得る…。「もう、無事、日本に帰国できさえすれば、それで良い…。」という心境でした。
 
 
 
 
 実は、すでに「答え」は3ヶ月前に出ていたのです。そう、「ジャマイカ挑戦」の後…直感的に「今は『流れ』が良くない。この『流れ』では成功できないし、何か新しい行動を起こす『タイミング』ではない。大人しく日本に帰国して、休養すべきだ。」…と感じた……あれが全てでした。人間の「直観力」というのを、侮ってはいけません。そして、行動を起こすにも「流れ」と「タイミング」を間違ってはいけません。そのことを、本当に痛いほど学ばされた3ヶ月間でした。
 
 
 僕の直感は、ずーーっと前から、訴えていました。これまでのブログにも書いてきましたが、この3ヶ月間、何度、「『流れ』が悪いから、帰国した方が良い。」と感じる状況があったことか…。それでも自分の「意思」「直感」「流れ」に反した行動をとり続けてきて、結果、デジカメは失うわ、あげくの果てには、命の危険も有り得る状況にまで陥ってしまったのです。
 
 
 
 しかし、僕には一切の「後悔」もありません。確かに、この3ヶ月間の自分の行動は、正しいとは言えないかもしれない。けど、どんな小さなチャンスでも首を突っ込み、やれる限りのことはやってきました。「パナマ上陸」だって、もしパナマに来てなくて、「パナマ1部リーグ」の実態を自分のこの目で見ていなければ、一生、「ああ、やっぱパナマに挑戦していれば…。」と気になっていた可能性もあります。自分の目で「パナマ1部リーグ」の実態を見たからこそ、もう、何の未練も無く、日本に帰国できるのです。だからむしろ、心はスッキリしています。
 
 それに、今回、パナマに来たことで、ドナルド・ゴンサレスとの「絆」が、より深まりました。パナマに上陸するまでは、ドナルド・ゴンサレスと言ったら、確かに「アミーゴ」ではありましたが、僕から見たら「雲の上の存在」で、その「距離」は、決して近くはありませんでした。しかし、パナマでドナルドと再会し、約1ヶ月間、共に行動することで、僕達の「距離」は縮まり、「絆」が深まりました。
 
 「パナマの怪人」、デリー・バルデス兄弟とも知り合えたし、ホンジュラスで知り合っていた、「元パナマ代表10番」、フリオ・メディーナとの「絆」も深まったし、そのおかげで「ドリーム・マッチ」にも出場できたし、伝説の「パナマ運河」も見れたし……得るものも本当にたくさん、ありました。僕は今回、決して「流れ」が良くない中でも、できる限り「未来の成功への『種』」がパナマでまけたと信じてます。
 
 
 
 「ジャマイカ挑戦記」の最後は、「…~最終回(?)~」で終わりました。それは、ジャマイカにはまだ「可能性」が残ってるし、何より、ジャマイカには、自分が「人生を賭けてでも挑戦したい。」と思えるものがあるからです。先のことは分かりませんが、「ジャマイカ挑戦記」は、「縁」があれば、また再開する可能性があります。
 
 
 しかし、「パナマ編」は、「…~最終回~」で締めたいと思います。「(?)」は付きません。確かにパナマも素晴らしい国です。けど、パナマの「プロサッカーリーグ」には、自分のインスピレーション的に「これだ!」と感じるものがありませんでした。「人生を賭けてでも挑戦したい。」と思えるものが、パナマの「プロサッカーリーグ」にはありません。人生、何が起こるか分からないので、あまり断言はしたくないですが、おそらく一生、パナマに「サッカー目的」で来ることは無いでしょう。
 
 
 
 それでも僕は、パナマに「感謝」の気持ちを捧げたい。確かに、散々な目に遭いました。しかし、良いこともあった。終わり良ければ、全て良し…。最後は、「感謝」で締めます。
 
 
 ありがとう、パナマ!!!!!そして、さらば、パナマ!!!!!
 
 
 そしてこの「帰国」が、文字通り僕の「運命」を大きく変えていくことになるのでした…。
 
 
 
※デジカメが盗まれたので、帰国の際の写真は一切、ありません。
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『パナマ編 ~最終回~』 3ヶ月前に出ていた「答え」…。さらば、パナマ!!それでも「感謝」を…。」への6件のフィードバック

  1. 最近の疑問は、Yojiさんがどこにいるかってことでしたが。今はどちらですか?
    でも、やりたいことや目的が明確であれば、人はどこにいても輝けると思います。場所なんて関係ないです。
    私も日本で休養してきます。天津に戻りたくないと思うかもしれません。思ったら、上司と相談します。
    最終的には絶対に戻りますが。帰国日程、延長させてもらってもいいんじゃないかと思っています。
    延長させてもらう心積もり、自分の中でしておこうと思っています。
    がむしゃらになりすぎてしまったので、それはちょっと休憩です。休憩で私もYojiさんのように何かつかめるかもしれませんね。

  2. 流れが悪い時のあとには、かならず幸運が拓けます!!特に、Yojiさんのように、常に前向きな姿勢を忘れなければ、絶対きます!!
    僕も、自分の甘さを思い知らされた面接の翌日、内定をいただくことができましたが、それもへこたれずに、進もうとした結果だと受け止めております。
     
    デジカメ盗まれたのは痛いですが(僕もアメリカでSDカードごと盗まれました><)、きっとこれは是が非でもYojiさんを日本に戻して、次の道に連れ込もうという神様の魂胆です(笑) また新しいデジカメとともに、次なるドラマが見られることを待ってます☆ ちょうどGWだし、ゆっくり楽しんでくださいな。

  3. Yojiさん
     
    ちょっとクッタリなってますね・・・元気ですか~!!!
    不思議なパナマ辺でしたね・・・デジカメ、残念です。
    でも取られるのが命でなくって良かった! そう思う事にしましょうよ。
    世の中・・・『取った奴が悪いから、そいつを言及する』って風潮はもう古いんですかね・・・悲しい事に。
    命を命と思わない輩が多くて困ります。
     そして、更なる飛躍、期待してるんですよ。
    デジカメ盗まれた程度じゃ、Yojiさんの前進は止められない事、私達は知ってますよ!
    マイナスの圧力に、プラスのエネルギーは止められないんです!! ふふふ。
    急がないで、時期が来たら、爆発しましょうよ!
     
    奇しくも実は私にも帰国の時期が来ているのです・・・Visaの関係で。
    今年で私のアメリカ生活も幕を下ろしそうです。
    でも最後まで諦めまいとは思ってますけどね!
     
    追伸 : 私のブログへの、Yojiさんのレスに、同じく返答を書いてあります。乱文ですが、まだご覧になってなければ、どうぞ!

  4. asiandreamさん。コメントありがとうございます。お元気ですか?無事、日本には帰国なさいましたか?休養も大事なことですよね。asiandreamさんが、故郷・日本でしっかりリフレッシュし、英気が養えることを、心よりお祈りしております!!では、ゆっくりして下さい!!

  5. Zigzagさん。コメントありがとうございます。お元気ですか?そして、内定おめでとうございます!Zigzagさんならやれると、僕はいつも信じてました。まさか、Zigzagさんもデジカメ&SDカードを盗まれた経験があったとは!!奇遇ですね(笑)。Zigzagさんの鋭いご指摘の通り、僕自身も、「これは神様が、是が非でも俺を日本に連れ戻して、次の道に引き込もうという魂胆じゃ…。」と感じたんですよ。実際、そう感じるような出来事が今、日本で相次いでいます。この後、きっと驚くような展開があります。ブログの更新を楽しみにしといて下さい!!とにもかくにも、内定、おめでとうございます!!やったーー!!

  6. Ameilie-Akiさん。コメントありがとうございます。お元気ですか?僕は、ばりばり元気です!!「取られるのが命でなくて良かった!!」…その通りです。僕も心底、そう思いました。取られたのが「デジカメ」だけで済んで、むしろ「ラッキーだった。」とすら感じるんです。「そして、更なる飛躍、期待してるんですよ。デジカメを盗まれたくらいじゃYojiさんの前進が止められないこと、私達は知ってますよ!マイナスの圧力に、プラスのエネルギーは止められないんです。」…Ameli-Akiさんのこの言葉に、元気と勇気をもらいました。ありがとうございます!そして、お言葉通り、「爆発」しますよ!!すでに、爆発間近な空気がプンプン漂っています。僕のコメントへの返事をいただき、誠にありがとうございます。随分前に、見させてもらいましたよ(笑)。またそちらのブログにお伺いして、新しい記事と共に見させてもらいますね。帰国されるなら、お気をつけて!では、また!

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