『ジャマイカ挑戦記~その4~』 タイムリミットは「6日間」…。「日本人」としての、誇りを胸に…。己の全てを賭けた、最後の闘い。


 みなさん、新年あけましておめでとうございます。今年もヨロシクお願いします。
 日本はもう、新年を迎えてますが、ここホンジュラスは、まだ12月31日・午前11時を過ぎたところです。まだ、新年を迎えておりません。日本より、「15時間」遅れで、新年を迎えます。
 今年も、海外で正月を迎えることとなってしまいました(涙)。海外は海外で良いところもありますが、やはり、僕が好きなのは「故郷」日本です。ましてや正月は、みなさんにとってもそうでしょうが、僕にとっても、1年で最も大事な行事であり、大変、特別なものなのです。「正月だけは、何としても日本に居たい…。」と毎年、思っているのですが、いろいろあって、今年も帰国することができませんでした(涙)。僕は、日本の正月が、本当に本当に大好きなんです。だからネットで、「正月を海外(日本国外)で過ごす日本人の、(日本)出国ラッシュ。」…などの記事を見ると、「どうして、正月にわざわざ海外に行きたがるのか!?日本の正月は最高なのに…。」と、信じられないんです。僕はいろんな国を渡り歩くことで、いつしか、海外に対する、変な「幻想」や「憧れ」が、全くもって無くなってしまい、逆に「いかに、故郷・日本が素晴らしいか…。」を再認識しました。今、思えば、この「いかに、故郷・日本が素晴らしいか…。」を再認識させられたことが、海外に出た、最も大きな収穫だったのかもしれませんね。いつしか、その「素晴らしい故郷・日本」に、大きな大きな恩返しをします。必ず…。
2006年12月!ジャマイカ最強チームの一つ「Harbour View」合流&ジャマイカとの、しばしのお別れ!! 033
 12月15日(金)……リミットは「6日間」。
 2日前に、ポートモア・ユナイテッドから、まさかの「不採用」を告げられ、前日は、正に、僕の人生の中で最も苦しい誕生日を迎えました。一時は、本当に「路頭に迷う」危険性すらあり、「ジャマイカでプロサッカー選手になる。」という「夢」は、ついえたかに思われました。しかし、様々な「奇跡」が重なり、僕は正に「紙一重」で、「Harbour View(ハーバービュー)」への挑戦権を得ました。しかし、残り滞在期間は、あと、わずかに1週間しかありません。しかも、1週間目は、早朝の飛行機でホンジュラスに帰らなくてはいけないため、実質、僕に残された日にちは「6日間」です。あまりにも少な過ぎる、リミット「6日間」…。もう、よほどのことがない限り、ハーバービューとの「契約」は勝ち取れない、大変、厳しい状況……正に「崖っぷち」に追い込まれました。
 ここで少し、この「Harbour View(ハーバービュー)」について、どんなチームか簡単に紹介したいと思います。ハーバービューは、ポートモア・ユナイテッドと共に、「ジャマイカ最強チーム」の一つと言われる、カリブ海きっての名門チームです。昨年は、ポートモア・ユナイテッドが「ジャマイカ王者」、そして「カリブ海地区・王者」に輝きましたが、ハーバービューは今年の「ジャマイカ王者」として、現在、カリブ海地区の王者を決める大会で、準決勝まで進出しています。過去には何度か、「CONCACAFチャンピオンズ・カップ」という、北中米カリブ海地区の王者を決める大会にも出場していますし、チームとしての実績は、むしろ、ポートモア・ユナイテッドを凌ぐほど…と言われています。
 こんな名門チームに、挑戦するのです。ましてや、リミットは「6日間」しかない…。ポートモア・ユナイテッドを「不採用」になって、悲しんだり、自虐的になってる暇など無いのです。むしろ、僕はポートモア・ユナイテッドにて、自分の実力に対して、ある種の「確信」を感じてましたから、堂々と、胸を張って、自信をもって、ハーバービューに乗り込んでいきました。さあ、「最後の闘い」が始まります。
 ~~その日の、Yojiの日記には……~~
 「2006年12月15日(金)ジャマイカ上陸・23日目。……ついに、ハーバービューの練習参加(入団テスト)が始まった。ここの選手、スタッフ…全ての人が、本当に温かく俺を迎え入れてくれ、涙が出そうなくらい、嬉しい。ここは自分に合っている…。心からそう思えるチームは、あの、マラトン以来だ。おとといまで居たポートモア・ユナイテッドとは、天と地ほどの差がある。土壇場で、本当に良いチームと知り合った。……今日が練習参加初日であるにも関わらず、俺のストレッチングを見ていた選手達が、体の柔らかさに驚き、選手みんなから頼まれ、チームのストレッチングの指揮を執ることになった。…その後は、GKと共にGK練習をした。ハーバービューのGKは若いが、良い素質をもっている。良い刺激になった。……GK練習の後は、U-21チームに入り、パスゲームのゴールを守った。そして、最後は、FW全員のシュートを受けた。…ハーバービューの選手は、明らかに、ポートモア・ユナイテッドの選手より、技術が高い。良い練習になった。そして、俺のスタンス『サッカーを楽しむ。』の通り、とことん練習を楽しんだ。……練習後には監督に『Yoji、ビザの延長をしろ!』と言われた。ジョークだろうが、流れが俺にきていると信じてる。残り『5日間』…。必ず、奇跡を起こす!!!」
 ハーバービュー練習参加初日は、正に「最高のスタート」を切りました。素晴らしいサッカー環境、選手の温かい受け入れ、そして、ポートモア・ユナイテッドよりレベルの高い選手達の能力……何より、ここが「自分に合っている!」と感じれたことが大きかった…。こんなに「ビビッ!」と心にきたのは、あのマラトン以来です。
 日にちがどんどん過ぎていき、「リミット」が、刻一刻と無くなっていく……。ましてや僕は、旅行でジャマイカに来ているわけではなく、人生を賭けて、ここで「成功」をおさめるために来ているのです。異国の地で、毎日、刻一刻とリミットが無くなっていくたびに、首を絞められるような思いでした。この気持ちは、おそらく経験した者でしか分からないでしょう。この時ほど、「1日の重み」を感じたことは無いです。正に、「時間との闘い」でした…。しかし僕は、あくまでも「自然体」で、のびのび、サッカーを楽しみました。
※ハーバービュー・スタジアム入り口。
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※入り口の中に、さらに入り口。
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※ハーバービューの、素晴らしいサッカー環境…。ここで練習します。
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※スタジアム内から見える、景色。美しいです。
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※スタジアムの照明。
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※スタジアム敷地内に完備された、クラブ・ハウス。ここで、1週間過ごすこととなりました。
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※スタジアム内。
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※1週間、ルームメイトとして過ごした、アメリカ人のローレンス。ジャマイカでは、極めて珍しい、白人選手です。僕は、ジャマイカ人の話す英語が、よく理解できないことがたまにあったため、ローレンスに「あんた、ジャマイカ人の英語、理解できるか?」と聞いてみたところ、「実は俺も、たまに理解できないんだ。」と言われました。アメリカ人でも、理解できない英語って一体…?(笑)。ジャマイカ人、恐るべし…。
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 12月16日(土)……リミットは「5日間」。
 ~~その日の、Yojiの日記には……~~
 「2006年12月16日(土)ジャマイカ上陸・24日目。……この日は、OFF。もう、リミットが『5日間』と迫っていて、一日も無駄にできない状況なのに、OFFで、自分の実力をアピールできない!!……と、思っていたら、コーチに声をかけられ、何人かの若手選手と一緒に、午後16時から練習することになった。……ポートモア・ユナイテッドでの2度目の練習試合の時、実は、ハーバービューのコーチが観戦に来ていたそうだ。驚くべき、事実である。…つまり、『いつ、どこで、誰が見ていて、何がどうチャンスになるかも分からないから、常に全力でプレーしなければならない。』…ということだ。だから今日も、『オマケ』のような練習だったが、しっかり集中してプレーした。……これまでジャマイカに上陸してからの疲労はあるが、それ以上にコンディションと、ボールに対する感覚が最高で、ここにきて、プレーがまた一皮むけた感がある。非常に良い状態だ。……ハーバービューには、ポートモア・ユナイテッドと違い『ここだ!』感じるものがある。心から『ハーバービューでプレーしたい。』と思う。神様……、どうか願いが叶いますように……。」
※スタジアム敷地内から見える、丘、そして、丘に立ち並ぶ家…。美しい光景、素晴らしい環境…。ここで、プレーしたい。何としても…。
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※スタジアム内の看板。元ハーバービュー所属で、現在は、イングランド・プレミアリーグの「ボルトン・ワンダーランド」で活躍する、現役ジャマイカ代表キャプテン、リカルド・ガードナー(Ricardo Gardner)…。ハーバービューから、世界の大舞台へ……「夢」は膨らみます。
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※ハーバービュー・クラブ・ハウス入り口。
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※「素晴らしい環境」と思ったら、こんな光景も……。
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※スタジアム敷地内には、こんな銅像も…。これは何!?
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※ハーバービューの用具係。洗濯場にて。
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※ジャマイカのジュース。「Cola」じゃなくて「Kola」です。
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 12月17日(日)……リミットは「4日間」。
 ~~その日の、Yojiの日記には……~~
 「2006年12月17日(日)ジャマイカ上陸・25日目。……ハーバービュー練習参加・3日目。今日は何と、ビーチでフィジカル・トレーニングのみ。リミットがもう、目の前まで迫っているので、サッカーして、俺の実力を少しでもアピールしなければならないのだが、ビーチでフィジカルのみとは…。しかし、とにかく、与えられた状況の中で、全力を尽くすしかない!フィジカルは疲れたが、内容的には、レンカのビーチ・フィジカル・トレーニングの方がキツかったから、全く問題無かった。ここでも、ホンジュラスでの経験が生きている。……練習後、監督、コーチに、俺の滞在期間のリミットが迫っていることを話した。監督からは、『明日、GKコーチが来て、Yojiのプレーを見て、今後のことを決める。』と言われた。ここまできたら、もう恐れるものは無いし、やるしかない!!自然体で、自分の力を出し切る。ハーバービューは本当に良いチームで、環境面も気に入っている。心の底から『ハーバービューでプレーしたい。』と思う。……今までの人生も、何だかんだありながらも、結局は自分にとって、ベストな道が開けてきた。とにかく、ただ全力を尽くして、天命を待つ…。」
 明日、GKコーチが来て僕のプレーを見て、今後の僕の方向性(契約や、ビザのことなど)を決める…ことになりました。つまり、明日は非常に重要な1日となります。
 しかし……。
※ビーチでのトレーニング。椅子に座ってるのは、フィジカル・コーチ。
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※ビーチ・トレーニング終了。ポーズを決めるYoji。どんなに難しく、苦しい状況下でも、「笑顔」と「楽しむ」心は失いませんでした。
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※ビーチから帰る、ワゴンの中。
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※練習後、部屋でくつろぐ、ルームメイトのローレンス。
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 12月18日(月)……リミットは「3日間」。
 GKコーチが来て、僕をテストする、重要な日がやってきましたが…。
 ~~その日の、Yojiの日記には……~~
 「2006年12月18日(月)ジャマイカ上陸・26日目。……ハーバービュー練習参加・4日目。昨日の監督の話では『GKコーチが来てYojiのプレーを見て、今後のことを決める。』とのことだったが、何と、結局、GKコーチは来なかった。嘘だろ!?一体、どういうことだ!?ナメられてるのか!!?……しかし練習には集中し、センタリング・シュート中心のメニューで好守を連発し、ハーバービューのGKとの実力差を証明した。その証拠に、ある選手は『YojiがNo.1GKだ。』と言ってきたし、ミニゲームでは、両チームから『俺達のチームのGKをしてくれ。』と誘われた。選手は俺を認めていた。……GKコーチは来なかったが、誰の目から見ても『Yojiは良いGKだ。』と分かるほどの実力を証明した。しかし練習後、監督もマネージャーも、何も俺に報告しようとせず、素通りして帰ろうとする…。まるで、何事も無かったかのように…。昨日の話は、嘘だったのか!?…マネージャーを呼び止め、聞いたところ『監督に聞いてくれ。』と言う。監督に聞くと『明日こそ、GKコーチが来て、そこで(Yojiの今後を)決める。』と言う…。まるで他人事…。しかも、監督は昨日も同じことを言って、結局、GKコーチは来なかったじゃんか…。人生を賭けてここまでやって来ているだけに、正直、悲しくなった。マネージャーには『俺は真剣に、人生を賭けてここにやって来ているんだ。だからそっちも、真剣に俺を見てくれ!』と訴えた。…ポートモア・ユナイテッドもそうだったが、なぜ、誰も真剣に俺のプレーを見てくれないんだ!?一体、どうすれば良いんだ!!??…自分の実力に確信があり、それだけのプレーをしているだけに、余計にもどかしい……。」
 今日は、GKコーチが来て、僕をテストする、重要な1日のはずでした。リミットがもう「3日間」とほとんど無い僕にとっては、「極めて」重要な1日だったのです。何としても、GKコーチに自分の実力をアピールせねばならなかった…。しかし、GKコーチは来なかった上に、監督、マネージャーは約束をスッポカしておいて、それに対する何の説明も無し……。歯がゆかった…。本当に、歯がゆかった……。言葉では説明できないほど、歯がゆかった!!!!!僕は、本当、人生を賭けてここにやって来ています。向こうにも向こうの事情があるのは分かりますし、尊重しますが、どうしてもっと真剣に、僕と向き合ってくれないのか!?僕がいくら真剣に訴えても、ちゃんと聞いてくれないし…。エージェント「的」存在のはずだったロイ・トーマスは不在で、きちんと彼らと交渉できる人物もいない…(ネビル・ベルは仕事が極めて忙しく、もう僕の手助けはできない状況)。しかも、僕のプレーが悪いのならまだしも、どう考えても、ハーバービューのGKより実力が上なことを証明し、選手達もそれを認めているのにも関わらず、なぜだか、ことごとく、「肩透かし」を食わされる、この状況……。それプラス、もう目の前に迫った「リミット」が僕の首を締め付けていきます……。
 しかし、もう、「明日こそはGKコーチが来て、Yojiをテストする(監督談)。」という、言葉を信じて、そこに全てを集中させることしか、できないのです。そこでGKコーチを必ず認めさせる…。それしかない!!!
 そして、「運命」の日……。
 12月19日(火)……リミットは「2日間」!!!もう、日にちが無い!!!!
 ~~その日の、Yojiの日記には……~~
 「2006年12月19日(火)ジャマイカ上陸・27日目。……ハーバービュー練習参加・5日目。今日は午前から練習。昨日の練習には、約束された『GKコーチ』は来なかった。『GKコーチによるテスト』は、今日に持ち越しになっていた。残りリミットを見ても、今日がもう、最後のチャンスと言っても良い。俺の全てを賭けた、『最後の闘い』の日がやってきた…。
………しかし、何と、またしてもGKコーチは来なかった。…練習前『あれ!?GKコーチ来てないじゃん…。』と気付いた。監督からは、一切の説明も無い。…正直、本当にムカついたし、ガッカリしたし、ショックを受けた。なぜ、嘘を付くんだ!?なぜ、真剣に俺と向き合ってくれないんだ!?やりきれない思いに、包まれた。…しかし『どういう状況であれ、全力を尽くす。』という、俺のスタンスは貫いた。GKもフィールド・プレーヤーに混ざってのミニゲームでは、FWに入り、『魂』の2ゴールを決めた。選手はみんな、脱帽していた。『どんな練習でも、どんな状況下でも、俺の実力をアピールしてやろう。』と思っていた。怒りの2ゴールだった。
………その後は、紅白戦を行い、ポートモア・ユナイテッドの時と同様、格下のU-21チームに入り、トップチームに対して、ゴールを守った。ここでも執念で好セーブを連発した。ミスを繰り返すUー21チームにイラ立ったし、PKなど、どうしようもないゴールも決められた。しかし、最後の最後まで、諦めず、自分の全てを出し尽くした。
………午前練習の後、監督から呼び出された。昨日も含め、GKコーチが2度もスッポカしたことについての説明は無かったが、『今日の午後16時に、今度こそGKコーチが来る。そこでGKコーチが、Yojiのテストを行う。』と言われた。『GKコーチが来て、Yojiをテストする。』と言われたのは、これで3度目だ。『今回こそは、さすがに来るだろう。』と思った。今度こそ、本当の本当に、最後の闘いだ…。
………約束の午後16時。まだ、GKコーチは来ていない。…16時半、17時……。まだ来ない。…18時……グランドで待ち続けたが、とうとう、GKコーチはやって来なかった。またしても、スッポカされた。
………信じられなかった。人生を賭けてジャマイカに来ているのに、ことごとく肩透かしを食わされる状況…。昨夜、やっとジャマイカに帰ってきた、エージェント『的』存在のロイ・トーマスに相談するも、全く話は噛み合わなかった。誰にも理解してもらえない、打つ手が全く無く、ただただ時間が過ぎていくのを、指をくわえて待つことしかできない状況…。リミットは今日をあわせて『2日間』だったが、マネージャー曰く、『明日はチーム練習無し。』とのことだ。つまり、今日が最後のチャンスだったのだ。しかし、残ったのは『GKコーチは来なかった。』という事実のみ…。正に『八方塞がり』、『絶体絶命』の大ピンチに追い込まれた。
………そして夜、チームのマネージャーに呼び出された。マネージャーは、『Yojiがいきなり来たので、きちんとした入団テストのメニューが組めなかった。監督は[YojiはGood Keeperだ。]と言ってたが、6日間はあまりにも短過ぎて、契約するかどうかの判断材料がまだ足りない。』と言った。それでも、あさってジャマイカを離れなければならない俺が、今現在で、何かしらの『決断』を求めていることを知り、マネージャーはこう言ってきた。『監督は確かにYojiのことを[Good Keeper]と言っていたが、[Excellent Keeper]とは言ってなかった。外国人GKがジャマイカでプレーするには、ジャマイカ人GKより、桁違いに優れてなければならない。よって、Yojiとは契約できない…。』………(つづく)………」
 「不採用」を告げられました。
 この時の僕の心境を、言葉で表現することはできません。あまりのやりきれなさに、胸が張り裂けんばかりでした。ハーバービュー合流初日、マネージャーに聞いたところ「監督が(Yojiと契約するかどうか)全て決定する。」と言ってました。つまり「監督次第」…ということです。しかし、練習で技術の高さをアピールし、ハーバービューのGKとの実力差を証明すると、今度は、「GKコーチが全てを決定する。」と言います…。「じゃあ、俺の実力をGKコーチに認めさせれば良いんだな。」と思い、最後の執念を燃やしていましたが、何と何と、GKコーチは3度もスッポカし、「判断材料不足」で、終戦となったのです。
 マネージャーの言うことも、理解できます。それは、Jリーグでも、全く外国人GKがいない現状を見ても分かります。しかし、僕の実力が他のジャマイカ人GKに劣ってるのならまだしも、「実力的には、どう考えてもジャマイカ人GKに勝っている。」という確信がありながら、結果が出なかったことは、本当、言葉では言い表せないほど、悲しかったです。
 今までの人生の中で、僕は「実力があって、結果が出る。」「実力が無くて、結果が出ない。」……この2種類しかないと思っていましたが、今回は、「実力があって、結果が出ない。」という、初めてのタイプの問題に苦しまされました。もちろん、僕はまだまだ未熟で、足りないものがたくさんあることも自覚してますし、「…そういうのもひっくるめて、結果が出なかったということは、実力が無かったってことだ。」と思われる方も、当然、いらっしゃると思います。しかし僕は、自虐的になれば良いとも思いませんし、また、今回に関しては、ジャマイカで実際に彼らのサッカーを肌で感じ、「現時点の俺でも、ジャマイカでプレーするのに相応しい実力はもっている。」と実感したんです。第3者の意見も尊重しつつ、自分の中の「感覚」も大事にすべきだと僕は思います。
 2005年12月に、初めて「プロサッカー選手」という「壁」を超えました。それまでは、僕とプロとの間には、「実力」的に、大きな差、「壁」が存在しました。それはそれは大きな「壁」でした。「実力」という、目に見える、はっきりとした「壁」が存在していたのです。…それに比べて今回のジャマイカ挑戦は、目に見えない、透明な、得体の知れない「壁」に跳ね返された……という、印象でした。自分でも、未だに何が起こったのか分からないくらいです。
 ~~その日の、Yojiの日記、つづき……~~
 「……(つづき)……12月に入ってからは、『成功』できる流れではなかった。得体の知れない流れに飲み込まれ、チーム幹部からは真剣に向き合ってもらえなかったし、正直、途中から、この結果は覚悟していた。しかし、『日本人として、男として、時には[負ける]と分かっていても、やらなければならない時がある…。』と思って、最後の最後まで、可能性が1%でもある限り、150%の力を出し尽くした。そして、日本人らしく、全力を出し切って、堂々と胸を張って散ってやった。
………考えただけでも悲しくなる結果だし、納得できないこともたくさんあるが、これがプロサッカーの世界だ。結果とは裏腹に、今回ジャマイカに来て、自分の実力に対して、確信がもてた。俺の実力は『ジャマイカ国内リーグ最高GK』よりも上だったし、『ジャマイカ最強チーム』の中でも、輝きを放っていた。きっと、今の自分なら、もっともっと良い道が開ける。今回の結果は『ここより、もっと良い場所がある。自分に相応しい場所がある。』という、神様からのお告げだったのかもしれない。
………『日本代表』に向けての挑戦は、まだまだ終わっちゃいない!!!俺はまだ、死んではいない!!!今回、ジャマイカで得た、自分の実力に対する確信を胸に、これからも前に進んでいく……。」
※全てを出し切り、白目をむいて横たわるYoji。
2006年12月!ジャマイカ最強チームの一つ「Harbour View」合流&ジャマイカとの、しばしのお別れ!! 038
 残り滞在期間は、あと2日間。しかし、明日はチーム練習は行われず、監督もコーチも誰も来ない。そして、あさっては、朝4時半に起きて空港に行き、ホンジュラスに向けて出発する……。
 つまり………。
 リミットは「0日間」。
 僕の、ジャマイカでの挑戦は終わった…………
 ……………………………
 ……………………………
 ………………………
 ……………………
 ………………
 ……………
 …………
 ……かに、思われました………
 …………
 ………が、
 まだ、闘いは終わってはいなかった…。
 つづく

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6件のコメント

  1. あけましておめでとうございます。
    今日の新潟は、信じられないくらいの<晴れ>でした。1月1日に洗濯物が外に干せるなんて、十何年に一度かもしれません。
     
    毎日のYojiさんの記事を読んでいると、連載小説のようです。
    なんにもできないけど、新潟からたくさんの仲間が応援してますから!!
     
     
     

  2. みゆきさん。あけましておめでとうございます!僕が新潟に行ったのが2004年の冬ですから、あれからもう、2年がたったんですね…。早いものです。新潟が快晴だったようで、何だかこっちも気分が良いです。「洗濯物」の話が出てくるところが、「主婦だな~。」と思いました(笑)。「連続小説」ですか(笑)。そういうつもりは全く無いんですけど…。ただ、ジャマイカでは本当に人生を賭けて挑戦して、そこで感じたこと、経験したことを、そのまま、嘘偽りなく、書いてます。書くのも、相当のパワーと、時間を要します(笑)。新潟の人達から応援されてるとのことで、こんなに心強いものはありません。ありがたいです。近い将来、必ず、新潟の人にも恩返しをします。それでは、良いお年を…。

  3. 明けましておめでとうございます。
    自分も波乱万丈の年でしたが、嵐の後の晴れと言わんばかりに、群馬も快晴でした。
    本厄年という嵐が終わった今年は、生まれ変わる所存であります。
    お年玉も今年で最後だ...。
     
    YOJIさんは連続ドラマの脚本家の才能がありますな(笑)
    ぜひ映像化させてくださいm(_ _)m
     
    つづきを楽しみにしつつ、活躍を期待してます。
     

  4. Kei君。あけましておめでとう!Kei君にとって、2007年が良い年でありますように…。「連続ドラマ」ね~(笑)。ただ、この話は「ノン・フィクション」だからな~(笑)。ジャマイカでの闘いは、とても一回じゃ書ききれなくて、こうして、何度かに分けて書くことになったんよ。ジャマイカ編、まだ終わってないから。リミット「0日間」…。次回を楽しみにしといてくれ!!じゃ、また!!

  5.  
    えー?
     
    ええっーー??
     
    えええっーーー???
     
    つっ つづく !?
     
    相変わらず ハラハラ ドキドキ!
     
    先が読めない Yoji さんの とぅ~びぃ~こんてぃ~にゅ~ ・・・ 気になるよ~☆
     
    次回はどんな展開が待ち受けているのでしょうか?
    またお邪魔しますネ♪
     
     

  6. 早乙女 姫さん。あけましておめでとうございます。今年もヨロシクお願いします。そうです。「ジャマイカ編」…まだ続くんです。ハラハラ・ドキドキしてもらって、ありがとうございます。しかし、やってる本人は、死にそうなくらいキツくて(笑)、一杯一杯の状況でした。そんな中でも、「笑顔」と「楽しむ心」は、失ってませんでしたが…。次回も見て下さいね!では!!

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