さー、どうするYoji??…「変えるべきか?」「変えないべきか?」


 衝撃的だった「監督交代」から、早くも1週間が過ぎようとしています。
 チームメイトの中には、ホンジュラス人なら誰もが知ってる「ビッグ・ネーム」マチャドから、無名の監督に代わったことで、新監督に対して「半信半疑」「不満」の態度をあからさまにする選手も出てきました。こんなことがありました。とある選手が、こんな失礼な質問を新監督にして、バカにしました。
 ☆とある選手「監督、現役時代はどこでプレーしていたの?」
 ★新監督「オリンピア(←ホンジュラス最強チーム)で3年間…。」
 ☆とある選手「たったの3年??(笑)それなら、俺の方が選手としての実績は上だし、そもそも、あんたがオリンピアでプレーしてたってこと、俺、知らないよ。本当なの?」
 …これには、隣で聞いてた僕も、不快な気持ちになりました。この選手は、その日の練習後、新監督に呼び出され、厳重注意をされました。「解雇」も辞さないと…。
 ……もともとレンカは、「わがまま者」の集まりです。それが以前までは、誰もよりも実績のある、ホンジュラス・サッカー界の英雄的存在、マチャドが監督を務めていたことで、どうにか選手達も言うことを聞いて、まとまっていたのです。それが、マチャドが去り、「無名」の新監督が就任したことで、「わがまま者」達の本性が、一気に噴出してしまった感じです。練習を無断で休んだり、ふざけた態度で練習したり、監督の指示を無視したり、その様子はまるで「新任教師をいじめる、中・高生。」って感じです。本当に勝つ気があるのか!?
 …もちろん、そんな選手ばかりじゃありません。新監督を信頼し、より一層、やる気を燃やしてる選手もいます。僕もその1人です。
 新監督になり、紅白戦でレギュラー組のゴールを守る機会が増えました。マチャドの時は、僕がいくら、どれだけ良いプレーをしても、全くチャンスはもらえなかったので(まあ、最近まで「書類問題」があったので、仕方ないっちゃ、仕方ないのですが…。ただ、それ以上にマチャドからは、自分に対する信頼が伝わってこなかった)、新監督になってからの方が、練習に刺激があります。
 僕を含めて4人居たGKは、新監督になってから、マチャドがレギュラーとして今シーズンから起用していた「選手に復帰させたGKコーチ」を、「もう、コーチに専念してくれ。(新監督談)」と選手としてプレーさせないことになったので、GKは現在、1人減って「3人体制」となりました。
 さらに昨日…。
 新監督になってから、初の対外戦(練習試合)で、僕は「第2GK」として起用されました。もちろん「第2GK」では納得できませんが、先週まで、大木のように固く、全く動く気配の無い「第4GK」という地位を押し付けられていた自分にとっては、「第2GK」でも、凄い進歩です。選手の入れ替わりが最も少ないとされるGKというポジションにおいて、「4」→「2」と2つも飛び越えて昇格することは、普通、めったにありません。…しかも、この日の試合でも良いプレーをしたし、さらには、この日の練習試合のメンバーが、今週末の公式戦のメンバーに選ばれることが濃厚でした。
 …そして今日…。迎えた、公式戦「メンバー発表」。
 さー、どうなるYoji!?初の「メンバー入り」か!!?
 ……しかし、発表された「公式戦メンバー」の中に、僕の名前はありませんでした。(GKは2人選ばれるのですが、そこに僕の名前は無かった。)
 ………………………………。
 中国人的に言えば、
 「アイヨ………………………。」
 川平じぇい的に言えば、
 「パイィ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ン……………………。」
 って、心境です。
 このメンバー発表がされた時、「え!?」と驚きの顔をして僕の方を見たチームメイトがいました。中には、僕は試合メンバーに選ばれてないのに、「Yoji、明日は13時に試合出発だからな。」と言ってきて、僕が試合に行くものだとばかり思ってる選手もいました。
 まあ、今はこうしてジョークが言えるくらい落ち着きましたが(笑)、この発表を聞いた時は、さすがにちょっとガッカリでしたし、「なぜなんだ?」と思いました。だから、新監督に聞きました。
 ☆Yoji「俺には、何が足りないのか?試合に出るためには、何が必要なのか?」
 ★新監督「Yojiは昨日の試合がいけなかった。」
 ☆Yoji「何がいけなかったのか??」
 ★新監督「昨日、出場する前、俺に『今、何分ですか?』って聞いただろう。あれがいけなかった。」
 …………んんんん??????
 実は昨日の試合、前半終了間際からの出場を告げられ、何分からの出場か分からなかったので、新監督に「今、何分ですか?」と質問したんです。それに関して新監督いわく、
 「あと何分とか、今、何分とか関係無く、出場を告げられたら、選手はただプレーすればいいんだ。」
 とのことでした。
 ????????????????????????????
 ますます、分からなくなりました(笑)。「今、何分か」、「あと何分か」は、選手にとっては重要なことなんです。例えば、あと5分って告げられたのなら、GKとしてDF陣に「あと5分だから、集中切らさず、守り抜こう。」と声をかけることもできます。「今、何分か」、「あと何分か」によって、チームとしての闘い方も変わってくるんです。しかし、それが「いけなかった。」と言われては……。それでも、新監督がそれを気に入らないとしたら、今後は気をつけるしかないです。…ただ、その説明をうけても今一、自分に何が足りないのか理解できなかったので、再度、質問しました。
 ☆Yoji「…ええと、だから、自分には何が足らないのでしょうか?」
 ★新監督「昔、コロンビアにはイギータというGKが居て、彼は………で、………だから、………で…………。」
 ??????????????????????????????
 いや、「イギータ」がどうか聞いとるんじゃなくて、「Yoji」はどうか聞いとるんじゃけど!!!????(笑)
 …よって、再度、こりずに(笑)質問しました。
 ☆Yoji「だから、俺が試合に出場するためには、何が必要で、何が足りないのか?それが分かれば、練習中からでも、そこに重点を置いて練習し、改善できるから…。」
 ★新監督「Yojiは良いGKだ。とにかく、練習を続けていくこと……。」
 ???????????????????????????????????
 それで終わりかい!!????(笑)
 選手としては、これが一番、困るんです。「何が足りないのか?」「何が必要なのか?」…これが分からなければ、次につなげていくことができないし、より確実な成長ができません。
 ……そんなこんなで、今日は真剣に「変えるべきか?」「変えないべきか?」考えました。
 「自分が日本代表を目指す上で、本当にレンカに居て良いのだろうか???チームを変えるべきなんじゃないか???いや、変えないべきか????」
 先ほど、「今日は…」と書きましたが、実はチームを「変えるべきか?」「変えないべきか?」と考えたのは、「今日」に始まったことではありません。ずーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっと前から、考えていたんです。
 昨年11月28日の記事「レベルの高い集団とは?」でも書きましたが、ここで言う「レベルの高い」とは、技術のみならず、人間性なども含めた、「全てのレベルが高い」ことを意味します。そして、この記事の最後に僕は、「レベルの高い集団と、そうでない集団の、一体、何が違うのか?」について、ホンジュラス最強チームの一つ、「マラトン」で過ごした経験をもとに、自分なりに考えて出したその答えを、
 「レベルの高い集団は、自分達の集団に『誇り』と『自信』を持っている。」
 「自分達の集団に『誇り』を持ってるからこそ、そこに居る仲間も『信頼』できる。」
 と書きました。これが、レベルの高い集団と、そうでない集団の、大きな違いだと……。
 こうして見た時、はたして「レンカ」は、「レベルの高い集団」と言えるのでしょうか???
 『誇り』を持っていれば、そして、良い人間性を持っていれば、上記したような、「まるで新任教師をいじめる、中・高生。」みたいな行動はとらないでしょう?レンカの中には、味方に敬意を持つとか、ジョークを言うにしても最低限の礼儀は踏まえるとか、試合中、味方同士で助け合ってプレーするとか、そういったものが、全て欠けています。つまり「レベルの高い集団」とは、とても言えないチームなのです。ちなみにマラトンは、この全てを兼ね備えていました。
 もちろん、「無いものねだり」はいけないし、今ある環境の中で、ベストを尽くしていかなければならないのも事実です。しかし、僕は「環境が人を変える。」というのを、身をもって経験してきた人間です。例えば、2004年に日本でサッカー環境を失い、「負のオーラ」に満ちたバイト先でバイトして過ごす生活を送っていた自分や、過去最高の「負のオーラ」に満ちたアメリカで、不条理なことだらけで苦しまされた自分が、「無いものねだりはいけない。今ある環境の中でベストを尽くす…。」と、そこ(「負のオーラ」に満ちた場所)にこだわって、そこから離れていなければ、間違いなく、今、プロになった自分は存在しません。
 今、レンカは「負のオーラ」に満ちています。「負のオーラ」に満ちた場所に居たら、絶対、「成功」はありません。いや、もし、ただ単に「どこでも良いからプロになってサッカーする。」のが目的なら、レンカで良いんですよ。しかし、自分の目標は「日本代表」になること。年齢も年齢だし、もはや、1分1秒とて、無駄にはしたくない……。それを考えた時、「はたして、このままレンカに居て良いのか???」と、どうしても考えてしまいます。
 …また、こんな話もあります。それは、自分の中の「ものさし」です。
 ホンジュラス最強チームの一つ、マラトンでプレーしていた時は、その「レベルの高い集団」において、自分は存在感を発揮できていました。錯覚だったのかもしれませんが、ホンジュラス代表選手達や、その他の国の代表選手達とも「差」を感じなかったし、堂々と自信をもってプレーし、120%の力が出せていました。自分の中の「ものさし」では、「日本代表との距離も、そう遠くない。」と感じていました。確かに、最終的にはいろいろあってマラトンとは契約できませんでしたが、あの時、自分の中の「ものさし」の基準が高かったのは事実です。
 それが、レンカに入団してからはどうでしょう?初めてレンカに合流した時、まだマラトンでのイメージが残っていて、正直「レベルは高くない。」と感じました。この時はまだ「ものさし」の基準が高かったんです。それが昨季、プレ・シーズンマッチで「15試合連続無失点」を達成してもチャンスは与えてもらえず、「書類問題」でリーグ戦出場の資格すらもらえなくなって、レンカの中に染まっていくと、それまで「レベルは高くない。」と思っていたものが、「いやいや、なかなかレベルが高い。」と思うようになり、しまいには、ちょっとした「脅威」すら感じるようにもなってしまいました。レンカのレベルが、急にずば抜けて上がった……ってことは無いはずです。知らぬ間にその中に染まり、自分の中の「ものさし」の基準が、じょじょに下がっていってるような気がして仕方ないのです。こういう経験は、サッカーの世界のみならず、おそらく、たくさんの人があると思います。
 2リットルの水を持っていても、1リットルの容器しかなければ、1リットルの水しか入りません。自分の可能性を否定したら終わりです。僕はマラトンに居た時、自分は2リットルの水を持っていると感じました。それがレンカという1リットルの容器の中で、1リットル、もしくは1リットル未満の水しか使えなくなっているような感じがするんです。もちろん、どんな環境に居ても「2リットル」の水を発揮するのが一流ですが、環境によって発揮できる力が変わってくるのも、これまた事実です。
 もちろん、レンカに居て良いこともたくさんあって、技術的には、マラトンに居た時より、成長してるでしょう。しかし、技術の成長とは対照的に、自分の心の中の「ものさし」で計ると、もはやマラトンは、遠い彼方の異世界くらいの距離を感じてしまいます。
 環境を「変えるべきか?」「変えないべきか?」
 今までの自分は、そこが「負のオーラに溢れた場所。」だと判断した場合、即座に行動を起こし、そこを離れ、理想の場所を追い求めてチャレンジしてきました。とことん攻撃的に……。そして、その精神こそが、「プロサッカー選手」という人生最大の「夢」の実現に導いたと思ってます。
 しかし、今の僕が難しいのは、「プロサッカー選手」という「夢」は、手に入れていることです(もちろん、明日の保障は無い世界ですが)。プロになる前は、プロになってないのだから、なりふり構わず行動して、何とかしてプロになる必要がありました。だからこそ、「日本→中国→アメリカ→イングランド→ホンジュラス」と渡り歩き、そのチャンスを追い求めてきました。しかし、今の僕はプロです。レンカを離れるとなると、今ある「プロサッカー選手」という状況まで、失いかねません。そして、「プロになること。」「プロチームと契約すること。」の難しさは、26歳にして初めてプロになった自分が、一番よく分かってます。「チームを変える。」と一言で言っても、とてもとても簡単なもんじゃない…。クイズ番組で例えると、
 「ここまでで止めたら、100万円、手に入るが、これ以上、続けると、1000万円、手に入る可能性がある。けど、もし続けて失敗した場合は、今ある100万円も失う。さあ、どうする!?」
 って状況です。ちょっと違うか?(笑)
 レンカから「1000万円(日本代表)」につながる可能性も、無くは無いし(ここで言う「つながる」とは、レンカに居て日本代表に選ばれる…という意味ではなく、レンカに「今」残留することで、その中から自然とまた良い縁に巡り合い、違うチャンスが来て、最終的に日本代表につながっていく…という意味です)、「幸せ」も感じてる。しかし逆に、今は「何かを変えなければいけない時期にきている。」ような気がして仕方がない……。
 よく言う、「サラリーマンが安定した仕事を捨てて、転職・起業する」時の心境が、何だか分かったような気がしました(笑)。まあ、僕の場合は、もともと「安定」はしてないのですが(笑)。けど、生活自体は、やっと最近になって、軌道に乗り始めてきてはいます。しかし…。
 「変えるべきか?」「変えないべきか?」
 さー、どうする!?
※マラトン時代の写真(昨年)。
ホンジュラス新聞-028
※レンカでの写真(昨年)。
ホンジュラス新聞-054
 何か思ったことがあれば、気軽にコメント下さい!!

※連絡先メールアドレス☟☟☟

cafehondurasyoji@hotmail.co.jp

 

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さー、どうするYoji??…「変えるべきか?」「変えないべきか?」」への6件のフィードバック

  1. お久しぶりです!読みながら、『ものさし』の例えにすごく納得しました。いつの間にか現在の環境に満足してしまっている、と思うと僕も焦ってしまいます。
     
    環境を変えるか否か、どちらにせよ、ピンチはチャンスに、チャンスは大逆転大成功に成り得ます! Yojiさんならこのピンチをチャンスにつなげられると思います。
     
     
    ところで『川平じぇい』という方は誰か有名な人なのですか(笑)?

  2. Yojiさん、10月に入ってしばらく更新がなかったので順調かとおもっていたら、大激震でしたね。
     
    迷う局面というのは、どちらの選択にも大差ないときですよね。そういう時、ぼくは「所詮どっちでもいい」とおもってました。
    しかし最近(ていうか今日w)、考えを変えました。選択に迷ったときこそ、自分の意志で攻撃的に『択ぶ』べきだと。決断し行動しなければ、結果はわかりません。でも、どちらかに決めたら、ブレないことです。今は迷っていても、機が熟せば、おのずと答えは明らかになります。大事なのはそのあと、自分の決断を信頼し、ベストを尽くすことではないでしょうか。
     
    人間、もしも判断が鈍るときは、さっさと寝るに限ります。勘が冴えてないときは、ことごとく裏目に出ますから。
    でもいま、毎日を楽しんでいるYojiさんなら勘も冴え渡っているとおもうので、気を充実させて、「自分の道」を見つけてください!
    「正しい道を択ぶんじゃない。択んだ道を、正しくするのだ。」
    ここまでの神がかり的な展開を楽しませてもらってきた身としては、まだまだホンジュラスという土地が、Yojiさんに幸せをもたらしてくれるような気がします。焦らず、じっくり、「その時」に備えてください。自分のペースを乱さずに。
     
    おのずから未来の扉は見えてくるはずです。いろいろ書いてしまいましたが、まあ、今までどおり楽しんでください!(o ̄∇ ̄)o

  3. 不客气啦,不过我觉得我很吃亏哦,你看得懂我的,我却看不懂你的,比较郁闷(郁闷你懂吧?)
    呵呵,你的MSN地址可以告诉我吗?

  4. コメントありがとうございました!
     
    安選手の魅力は一言で言うと「プレイスタイルと人間性」。。。っていうのかな~
    本当は言葉では言い表せないんですよね^^;
    でも安選手の「人間性」はYojiさんの方がず~~っと分かっていらっしゃることでしょう(^。-)ー★
    それと安選手が新潟を愛してくれているように、私達も安選手をいつまでも愛し続けていくんです。
    あら。なんか恥ずかしいセリフだわっ(〃〃▽〃〃)
     
    そうそう10月29日に念願かなって釜山へ安選手の試合観戦&元気な姿を目に焼き付けに行ってきます!
    さっそく競り落としたユニを着て応援して来ま~す(^^)v

  5. 追伸。
    Yojiさんがサッカーを大好きな気持ちをず~っと持ち続けている限り、絶対良い結果が付いてきますよ!
     
     

  6. YOJIさん、なかなか安定しない生活というのも悩ましいですが、こんなもんでいいか、と、自分の可能性を殺してしまうのも問題かとおもいます。
    せっかくつかんだプロサッカー選手の仕事ですし、これからのことをどうするかは、しんちょうに かんがえたほうがいいとおもいますが、YOJIさんなら、じぶんをしんじてさいぜんのせんたくができるのではないかとおもいます。
    じしんをもってください。じしんとは、つまり、じぶんをしんじること。
     
    なんだか、かんじがうてなくなった。。。よみにくくてごめんなさいね。

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